第7章 冷たい宅配便/小さな科学者と
「さすがに女の子をその姿で出すわけにいかないな…」
「察してくれて助かるわ…江戸川君、いつまでも照らさないでくれる!?」
「あ、悪い…」
ここから出るにはとりあえず何か着せないと…
寒さもあるから急がないとと考えてるうちに、荷台の扉が開こうとする
「あ!来たぞ…」
「と、とにかく隠れましょう!」
息を潜めて宅配荷物の陰にみんなで身を寄せる
悪い事をしているわけではないのに、こういう所に隠れるのってドキドキするよな…
身幅の広い元太が隠れる程の荷物の量で助かった…
「次の配達はフルーツの詰め合わせ…」
「とっとと持ってってまた玄関先で荷物落として顔と名前覚えてもらってきなよ…大事な証人なんだから」
業者の人は2人組の男
玄関先で荷物を落とすだって?
そんな配り方をする宅配業者がどこにいるだろうか
顔と名前を覚えてもらって証人を作ろうとしているけど…何か悪い事でも考えてんのか?
そして片方の男が荷台の中を心配する様子もあった
「やっぱり中で声がしたような…」
「……!」
ヤバい!
隠れてるこの状況で見つかったらマジで怒られるぞ!?
それに哀ちゃんのこの姿を晒すようなことだけは避けないと…!
「バーカするわけねーだろ?声なんか出せるわけねーんだからよ…」
良かった、もう1人の方は疑ってもないようだ
でも声が出せるわけないとはどういうことだ?
もしかして、あの2人は……
コナンに視線を送るとちょうど目が合い、同じことを考えているのがわかり頷き合う
そして再びドアが閉められ暗闇になるのを待って、声の出せない荷物が入りそうな大きさの箱を探し出す
………コレかな?
「コナン、コレどうよ」
「開けてみるか」
そっとガムテープを剥がし箱を開けると、思っていた物が入っていた
「これなら外に出られるわ!」
哀ちゃんの声に振り返ると、先程まで上下肌着姿だった哀ちゃんが光彦から上着を借りて外に出られそうな格好になっていた
「じゃあ次に業者の人が扉を開けたら外に出してもらいましょう!」
「いや…そいつは止めといた方がいい…」
「「「「え?」」」」
オレも、コナンの意見に同意するわ
だって…
「オレ達より先に乗ってたお客さん、見つけちゃった」
開けた箱を指さして言うと4人が中を覗きに来る
そう、箱の中には男性のホトケ、いわゆる死体が眠っていた