第7章 冷たい宅配便/小さな科学者と
中に入ると、クール便というだけあってやはり荷台の中は冷えている
冷蔵車だから0℃~10℃ってところか…長袖着てても寒いや
「ニャー」
「いたわ!」
荷台の奥、積み上げられたダンボールの影からの鳴き声に哀ちゃんと歩美ちゃんが駆け寄ると、すました顔で座っている大尉がいた
「すぐ見つかって良かったな!」
大尉の元にみんなで駆け寄り、ホッと一安心していた時だった
「ったく、扉開けっ放しじゃねーか!」
外からした男の声に、え?と振り向くと、荷台の扉がバンッとしまる
出入口に一番近くにいた光彦が急いで外に向かって大声を出すも、扉を閉めた業者には聞こえなかったようで、完全に閉じ込められてしまった
「わっ!僕達に気付かずに走り出しましたっ!」
オレとしたことが……こういう所に入るなら、外に1人でも残しておくんだった
宅配車が走り出す揺れに足を踏ん張りながら明かりをつけたコナンの元に近づく
コナンの腕時計はライト機能付きで便利だなぁと思いながら照らす先を一緒に覗き込むと、コナンが見ていたのは荷物の伝票で、本日指定の荷物が何件もあった
これならすぐに扉を開けてもらえそうだ
「やべぇんじゃねーか?」
「歩美たちも凍っちゃうの?」
「大丈夫だよ!本日指定の未配達の荷物がまだこんなにあるから」
不安がる歩美ちゃんと元太をコナンが落ち着かせた
「じゃあ次に扉が開いたら出してもらおうか」
ちょっと寒いけど我慢だな、と歩美ちゃんを撫でるとニッコリ頷いてくれて、冷蔵車にもほっこりした雰囲気が流れる
「お!止まったぞ!」
暗闇での停車によろめくが、予想以上にすぐに次の届け先に着き安堵した
「きっとビックリですね、中から僕達が出てきたら」
「怒られちゃうね」
「まぁワケあっての事だから正直に理由を話せば…」
「ダメ!今出てったら許さないわよ!」
元太、光彦、歩美ちゃん、コナンのホッと一安心な声を哀ちゃんがピシャッと止めた
どうしたのかとコナンが哀ちゃんの方をライトで照らすと、そこには上下肌着姿の哀ちゃんがいて……
「え!?哀ちゃん!?」
「何やってんだオメー、パンツ一丁で」
コナンってそういうことあっさり言うのな
ちょっと哀ちゃんの気持ち考えてあげようよ
「セーターの毛糸がどこかに引っかかって全部ほつれてもってかれちゃったのよ!」
あ、さっきの毛糸か!