第7章 冷たい宅配便/小さな科学者と
ガタンと落ちてきたみるくコーヒーを零が取り出し、差し出してくれる
「ありが…」
ヒョイッ
「とぉ?」
目の前に差し出してくれたみるくコーヒーが一瞬で消えた
顔を上げるとオレの欲しいそれを高らかに持ち上げる零と目が合い、ニッコリされる
「もぉー!」
届くか届かないかというギリギリの所に下ろされ、何度もジャンプしながら掴み取ろうするがやっぱり届かない
振り出しに戻った気がする…
「零のいじわるっ!」
「仔うさぎみたいで可愛いなって思って、つい」
つい、じゃないよもう!
「欲しい?」
「うん」
「じゃあ、ココ、ちゅーして?」
そう言って零は自身の左頬を指差す
公安本部の廊下で何を言っているんだこの人は!!
「こういう所ではしないって言った」
「そうだっけ?」
誰に見られるかわからないからって、するなら誰も来ない研究室でって前に約束したのに
覚えてて言ってる絶対!
「じゃあコレは僕が飲むしかないか…」
「うっ……わかったよ…」
屈んでもらえるようにスーツのジャケットを引っ張る
キョロキョロ周りに誰もいないことを確認し、ドキドキしながら低くなった零の頬に背伸びをして、唇を近づけ…
「降谷さん!台借りてきました!!」
「…早っ!!」
「チッ…」
備品室へ行ってた風見が息を切らして戻ってくる
唇が触れる前に反射的に零から離れると、盛大な舌打ちが聞こえた
今日の風見は間が悪いらしい
「リュウさん、これでもう大丈夫ですね!」
「うん!風見ありがとう!」
台を置いて敬礼1つ、そそくさと逃げ去って行く風見を見送り零に目を向けると、なんだか険しい顔
「午後はポアロなんだろ?スマイルスマイル!笑顔忘れてるぞー?」
零の手を握りながら笑顔で見上げると、ふぅっと短い溜息
そしてようやく求めていたみるくコーヒーが手に入る
「ありがとう!」
「どういたしまして」
「じゃあ、ポアロ頑張ってね」
「叶音は外に出るんだろ?」
気を付けて…と頭を撫でてもらい、手を振ってそれぞれの方へ動き出す
さて、やっとの思いで手に入れたみるくコーヒーを飲みながら出掛ける準備でもするか
今日はこれから少年探偵団に誘われて阿笠博士の家に行く
ベルツリー急行での事件後初めて会うコナンに、チャンスがあれば哀ちゃんの真相を詳しく聞けたらな良いな…
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