第7章 冷たい宅配便/小さな科学者と
「零さ~ん…」
「一体何をしているのかな?」
あれ?
零の機嫌が悪い気がする
ピキピキと効果音が聞こえる様な…
「じゃ、自分は先に戻りますっ!」
空気を察した同僚君はささ~っとこの場を去って行く
風見はもちろんオレで両手が塞がっていて逃げることもできず固まっていて、そしてオレは下ろしてもらえない
「ああぁぁあのっ!実は赫々然々ありまして!!」
「言い訳をする前に早くリュウを下ろしてもらえないかな?」
「はいぃぃぃ!!!」
やっと足が地面に着いた
「廊下で騒いでごめんなさい…」
「いや、謝るところはそこじゃないんだがな…」
「すすすすすいませんんんっ!!!」
そこじゃないとは、一体どこなんだろう
風見がこの世の終わりの様な顔で謝っている
「それで?赫々然々何があってリュウを抱っこしてたのかな?」
「そ、それは…」
「そうそう!大変なことがあったんだよ!カフェオレ失踪事件!!」
オレには解決しなければいけない事件がある
風見達に話した様に、零に一連の流れを説明した
「だからって、僕以外に抱っこしてもらうのは許せないんだけどな」
え?オレが風見に抱っこされてたから機嫌悪いの?
そもそもオレ抱っこ断ったし…なんて言ったら風見が殺られてしまいそうだ
ちょっと冷たいかもしれないけど…
「そんなことより、オレはカフェオレの方が大事」
「そ、‘そんなこと’って…」
「本っっっ当に!申し訳ありませんっ!」
庇い方を間違えたらしい
風見がキレイに90度腰を曲げて全力で謝っている
「備品室から台を借用して、ここに常備すること」
「はっ!すぐ取ってきます!」
元はと言えばオレが事の発端なのに、上司に目をつけられ、更に備品室へと向かわされることになるとは…これってパワハラ?
風見ごめん、頑張って…
「届かないなら台を持ってくるように」
「はーい。でも零、抱っこくらいで怒っちゃダメだよ?」
「風見があんな嬉しそうに抱っこしてたら妬ける」
オレからは顔が見えなかったから気づかなかったけど、風見のやつ、零が妬くくらい嬉しそうな顔してたのか…
「そうでなくても公安のアイドル的存在になってるんだから、気を付けるように」
「ポアロのアイドルに嫉妬されないように気を付けまーす♪」
全く…と溜息をつきながら零はみるくコーヒーのボタンを押してくれた