第7章 冷たい宅配便/小さな科学者と
<7章冷たい宅配便>
ベルツリー急行、ミステリートレインでの案件から少し日が経ったある日
オレは公安本部の廊下に設置された1台の自販機を目の前に、腕を組みながら一人立ち尽くした
「カフェオレがない…」
ちょうど中身の入れ替え時期なのか、いつも飲んでいるカフェオレがなくなっている
となると次に似たような飲み物はみるくコーヒーしかないんだけど…
「届かない…」
なんで一番上!?
ペットボトルだから仕方ないと思うけど、一番上じゃなくても良いじゃんね!
一番下にペットボトルが配置されてる自販機もあるよ?
ここもそれにしよ?
いや、そもそもカフェオレ常備な自販機になれば良い
何故カフェオレを消した!?
…さて、これは困った
背伸びしようがジャンプしようが、購入ボタンには届かない
助走付けて飛んでみる?
「よーい、ドンッ!」
━━バンッ
「………………」
2段目に平手が当たってあえなく終了
元の身体に戻りたい…
オレは自販機の一番上のボタンを押す為に元の身体に戻りたいっ!!
「あれ、リュウさんどうかしました?」
「かざみさぁ~ん!」
ちょうど良い所に風見とその同僚がやって来たので、子どもを装いながら、カフェオレがなくなったことと一番上のボタンが届かないことを説明する
「昨日業者が入ってたんすよね~」
「カフェオレがないのはリュウさんにはキツいですね…」
そうでしょ?
そう思うでしょ?
他のだって飲めなくはないけど、頭を使ってクタクタな脳には程よく甘いカフェオレが飲みたいの!
「それで代わりにみるくコーヒーっすか」
「リュウさん、自分が押してあげますね」
すいません、風見さん助かります…と思った時、同僚がそれにストップをかけた
「待て風見、子どもは自分でボタンを押したいもんです。ここはリュウさんに押させてあげよう」
いやそんな気遣いいいです!大人なんで!
風見も「そっか!」みたいな顔しなくて良いから!!
「では…」
「えっ、いいよっ!?」
そんな静止も聞かず背後から両脇を掴まれ、ひょいっと風見に抱き上げられてしまう
なんだこの図…
ここは本当に公安本部の廊下か?というくらいイレギュラーである
「廊下で騒がしいぞ」
「ふっ、降谷さん!」