第5章 赤に揺れる/小さくなったその後
「いいですか、ここは僕の日本です。FBIが勝手に動き回るのは辞めてもらいたい」
「FBIとしても組織を追っているんだ。日本にいるのは必然的だろう」
「FBIの捜査の許可が下りていることなど聞いていない」
「許可も何も任務として来ているんだ。そんな話俺だって聞いていない」
「たとえ許可が下りていたとして、叶音にアメリカのプログラムを適用するのは別問題だ」
「では日本のプログラムで彼の安全を確保できるということだな」
「当たり前じゃないですか。それにそんなプログラムなくたって僕が日本で絶対に守る」
「ほぉー…死にそうな彼を目の前にあんなだった奴がよく言う…」
「何ィ!?」
「本当のことを言ったまでだ」
「叶音さんこのままでは国際問題に!!」
「まぁまぁ、大丈夫だよ、風見♪」
今までだって散々言い合いながら任務をこなしてきた
こうやってお互いにぶつかり合った時にそれをなだめるのがスコッチ、そしてそれぞれの良い所を拾って分析しベストな作戦を考えるのがオレ
「「で、どうなんだ?良い案はでたのか?」」
散々言い合って最後はいつもオレだから、今回だってそう来ると思ってたよ
「点滴打ってる子ども相手に容赦ないよなぁ…」
ねぇ風見?とわざとらしく言うと2人はハッと気付いたみたいだけど、姿が変わっても相変わらずこんな騒がしい2人を見ることができて嬉しいと思う自分がいる
「オレはどちらの制度も受ける気はないよ。ただ、FBIにも日本警察にも協力して欲しいことはある」
「「協力…?」」
仲が良いんだか悪いんだか、先程から言葉を合わせては睨み合う2人に笑みが出る
「まず、星影叶音の姿にいつ戻ってもいいように、オレの所在を隠して何らかの形で存在させていて欲しい。そして新しく子どものオレの戸籍を作ってこのまま日本で生活していけるように、そして組織の調査も続行できるようにして欲しい」
元には戻らないかも知れないけど、もし戻ることができた時に死んだ人間が生き返るようなことがあっては困るから、組織には死んだことにしておいても、星影叶音は生きて姿を消すことにしたい
「大人の君と子どもの君の2つの戸籍を存在させると?」
「うん。諸星さんの日本から遠ざけるって話と、透の日本にこのまま残すって話、同時にできないかなぁ?」