第5章 赤に揺れる/小さくなったその後
「本調子ではなさそうだが、一先ず生きていてくれて安心した」
「あ、ありがとう…」
諸星さんも心配してくれてたんだ…
「FBI、早速で悪いんだが、あの後の状況を教えて欲しい」
「そうだな。俺は何があってジンに捕まったか教えてもらいたい」
「うん。あ、風見も一緒に聞いて把握しといて」
零にいいでしょ?と同意を求め、風見も一緒に聞いてもらうことにした
返事を聞いてすぐに人数分の椅子やお茶を用意できるあたり、本当に良い部下である
「風見にもわかるように最初から説明するね?」
「すいません助かります」
風見にはオレ達3人の関係性を簡単に話すところから始まった
話すと言っても機密事項が多いため潜入先でチームだったって事くらいしか言えなかったけど
それからオレが組織に目を付けられた経緯を話す
「まずオレが組織の何を調べていたかというと、奴らの本拠地の所在やトップの情報だったんだ」
「誰もが辿り着けずにいる情報だな」
「うん。そこで組織に通じてるであろう研究所までたどり着いたんだ。探りを入れるところまでは良かったんだけど…そこのデータ管理があまりにも厳重すぎてトラップに引っ掛かったってわけ」
起動からファイルアクセスまでのパスコードが数回あってそれには苦戦したんだけど、最後に行きついたファイルのパスコードがあまりにも簡単すぎておかしいと思ったんだ
簡単な訳だよ、トラップだもん
クリアすると本部に通知が行くようになってるとかホントやられたわ…
「データのコピーは?」
「コピーロック外した途端にシャットアウト。研究所から本部に送信されてる物も色々あったからそれが手に入ればネットワーク辿れたかもしれないのに…」
そう簡単に行かないのが例の組織である
「本部に通達が行って、ジンがオレを捕まえに来て、チームで動いてた2人も呼ばれたってわけ。オレのヘマで2人も変に疑われなくて良かったけど…」
「それは君が潔く毒薬を飲んで、安室くんも飲ませるという決断をしたからだろう」
零が俯いて拳に力を込めていたのがオレからは見えた
でも諸星さんの言う通りで、あそこで躊躇していたら3人とも危なかったと思う
一か八かの大きな賭けだったけど、あそこで飲んで正解だったのかな…
「毒薬で、叶音さんの身体が縮むというのは…」
「そこは誰もが想定外…」