第5章 赤に揺れる/小さくなったその後
「元に戻る方法、絶対見つけるから」
うっすら目を開けると、そこには曇った零の顔
そうさせてしまったのはオレ…
元を辿ればオレがヘマしなければこんなことにはならなかった訳だし、銃で撃たれてたら今頃こうして話なんかできなかったんだ
まだこの状況を受け入れきれてない部分の方が大きいけど、零に毒薬を飲まされたからこうなったとかそんなことは1ミリも思ってないし、これからも思うつもりもない
「零が解毒薬も一緒に飲ませてくれてすぐに病院に運んでくれたからこれで済んだと思う。生きてこうして零といられるだけで十分だよ。責任、感じないで…」
「すまない…」
「オレも、零にそんな思いさせてごめん」
「叶音が謝ることじゃないさ」
「零が謝ることでもないよ」
触れるだけの軽く優しいキスをもらうと、病室のドアがノックされた
「失礼します、戻りました」
「あぁ、ご苦労だった」
入ってきたのは両手にたくさん荷物を持つ風見だった
目が覚めたんですね、と控えめな笑みを向けられたのだか、もしかしたら零は風見にオレの事を伝えてないなくて、風見も気付いてないのかもしれない
「看護師の方が少年に冷却枕をと。あと、頼まれたいた物です。院内のコンビニは閉店していて外に出たので、あまり細かい物は買えず…申し訳ないです」
食料や歯ブラシや零の替えのスーツなどが手渡され、今夜はずっとここにいてもらえるんだなと察する
オレの服はまた日が昇ったら調達してきてくれるそうで、日付が変わってからそこそこ経っていたことに気付く
「それと夜間口で警備員を困らせてる男がいて…話を聞いたらFBIと言うんです。少年を運んだ人に言えばわかると言うので事実確認をと思ったのですが、何か心当たりはありますか?」
「…ここに案内して構わない」
わかりましたとすぐに部屋を出ていった風見
そしてFBIと聞いた途端に機嫌が悪そうな零…
「ライからFBIだと明かされた」
「え…」
「叶音は知っていると言っていたが?」
「…ごめん…いずれ零に報告をって思ってたんだけど…」
「勘違いするな、別に怒ってない。まだ言うべきではないという判断だろ?」
風見が持ってきてくれた冷却枕を頭の下に差し入れ、頭を撫でてくれた
「ライはFBIで間違いないんだな?」
「うん…間違いない」
「……そうか…」