第5章 赤に揺れる/小さくなったその後
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登庁後には解析の仕事や書類のまとめが山ほどあったが、ある程度まで片付けて午後一番に風見に工藤邸まで送ってもらった
コナン達の学校が終わる時間までもう少しあるので、まずは沖矢さんに会ってそれから阿笠博士と発明の話をしながら待とうかなと、工藤邸のインターホンを押す
モニター越しに確認をしたのか、沖矢さんはすぐに玄関を開けてくれた
「突然おじゃましてごめんなさい」
「君は確かコナン君のお友達の…」
「リュウです!この間は美味しいシチューありがとうございました!」
友達かどうかはさて置いて、シチューの入れ物が入った紙袋を差し出すと、中を見るなりニッコリと微笑み返してくれた
「わざわざありがとうございます。今日はお1人ですか?」
今日は……?
前回も1人だったけどなと思いながら、この後コナンに用事があって1人で来たことを伝える
「学校が終わるまでもう少し時間がありますし、お茶でもいかがでしょう?」
「え、いや、突然来てそれはご迷惑なので…」
「まだ学校の時間なのに子どもが1人出歩いていては不審に思われてしまいますから、ね?」
そう言う沖矢さんに腕を引かれ、半ば強制的に家に入ることになった
いずれ調査したいなと思っていたし、せっかくだから下見程度におじゃましとこ…
「おじゃまします…」
応接室のソファに案内してもらうと沖矢さんはキッチンへと消えていった
ここが工藤新一が住んでいた家か…と思いながら部屋を見渡す
玄関も広いし、部屋もたくさんあってとにかく広そうだ
両親が有名人だと住む家もこんなにも違うんだな…
「お待たせしました」
「あ、いえ、わざわざすいません」
「カフェオレ、好きですよね?」
「え?あ、はい…!」
カフェオレ好きなの、オレ誰かに話したっけ?
と疑問に思いつつも本当のことだからまぁいっかと遠慮なくいただくことにした
湯気を割るようにふぅーっと息で冷まして飲むと、寝不足の身体に温かさが染み渡る
「おいし…」
「それは良かった」
対面側のソファではなく何故かオレの隣に座る沖矢さん
腕を組みながらニコニコと真横からオレを見つめているが、オレの顔に何か付いてるんだろうか…あんまり見られると目のやり場に困る…
「あまり眠れていないんですか?それとも疲れを溜めてしまっているとか…」
「え…?」
沖矢さんの右手が伸びてくる