第5章 赤に揺れる/小さくなったその後
〈5章赤に揺れる〉
零がバーボンとしている間、家に帰って来ないことはもちろん、本庁にも姿を見せないことなんてよくあることだった
その間の連絡はこちらからの一方通行、顔を合わせることもなく、どこで何をしているのか分からず不安な日々を過ごす
零がいつ帰ってくるか分からない一人の夜は殆ど眠れず、目の下の黒色が日に日に目立つようになってしまう
零の代わりにオレの送迎や部下の指揮をしてくれるのは風見で、今日も時間より10分も早く自宅前に車を停めて待機してくれている
零が5分以上前行動だから、それよりも早く…なんだろうな
オレは時間通りにしか出ないからいいって言ってるのに、そういうところ、ホント律儀な男である
ってゆーか5分以上前って…早すぎだろ
「風見おはよ~」
「おはようございますリュウさん、また寝てないですよね?」
「ん…一応寝てるけど、1時間ごとに起きちゃって。さすがに4日目はつら…」
寝てはすぐ起きての生活が3日間続くとさすがに身体もおかしくて、だったら寝ずに仕事を3日間続けていた方が楽なんじゃないかと思ってしまう
増してや本当に朝だけは弱いから、寝起きの怠さを1時間ごとに味わうという最悪な状態に陥っている
「朝ご飯は?」
「寝不足による食欲低下で軽めに」
「食べやすいゼリーしか食べてませんね、わかってましたよ」
車を走らせながらそう言って、コンビニの袋からおにぎりとスポーツ飲料を出してくれた
「少し炭水化物と糖分取ってください」
「風見お母さんありがとう」
何から何まで手のかかる子ですいません…
本庁着いたら頑張りますので今だけは見逃してください
「今日は午後から阿笠邸に行くんですよね?」
「うん、コナンに会ってくる」
コナンとは毛利探偵事務所の事件以来会っていない
あの日別行動を取っていた零が阿笠博士の発明品によってオレやコナンの場所を突き止めたと言っていて、それについても探りを入れて欲しいと頼まれていたから、今日はその調査も兼ねて訪ねようと思っている
あと、沖矢さんに貰ったシチューの入れ物も返しそびれてるから…ついでに寄ってみようと思う
「昼食もきちんと食べてから行かないとダメですからね」
「はーい…」
お母さんな風見は登庁後まで続くのだった