第12章 米花商店街の魔女
コナンが例の爆弾魔のことを知っているというのは、爆弾魔の逮捕に繋がったあの連続爆破事件の時からわかっていた
コナンが東都タワーに設置された爆弾を解除したというのはニュースで取り上げられていたし、今思えば犯人を特定し逮捕へと繋げたのはコナンの推理と刑事への助言によるものだったんだろう
この犯人は7年前に萩を、そして3年前にその仇を取ろうとした陣平ちゃんまでもオレ達から奪っていったんだ
大切な友人達をあの世へ連れて行った死神を、できればこの手で捕まえたい
そう思って時間の許す時には犯人についての情報集めをしていた
そしてついに犯人が動いた時、絶好のチャンスでありながらオレは既に組織へ潜入をしていた為事件へ関与することができず、ただただ外野から見守ることしかできなかった
でもコナンのお陰もあって、この手って訳にはいかなかったけど犯人を逮捕することができた
それに犯人を死亡させることなく順を追って法の下で裁くことができたことに気持ちが少し救われていたんだ
なのに何で今になって爆弾魔を思い出させる様な事が起きるんだ!!
「リュウが冷静でいられないのは、あの時の犯人が仕掛けた爆弾で同期の松田刑事が殉職したのが関係あるんじゃない?」
「……!」
「松田刑事は佐藤刑事の1つ上の代だって聞いたから、もしかしてリュウと同期なんじゃないかって思ったんだけど…」
オレの反応を見て、やっぱりそうなんだね、とコナンの表情は曇りを見せた
そうか、コナンは陣平ちゃんの話も聞いていたのか…
「そうだよ。じん…松田は、オレの同期で友達…」
出会いこそ警察学校と遅かったけど、大切な、大切な、とっても大切な友達なんだ
「コナンは爆発現場の悲惨さ、知ってるよね?」
現場は観覧車のゴンドラ
けして広くはない箱の中
目の前で爆弾が爆発したら
燃え広がる炎に包まれ続けたら
「オレ、3年前は鑑識官やりながら特捜の見習いみたいなのやってたんだ…」
そこまで口にして後悔した
じわじわと蘇ってくるあの日の光景に、オレだけ別世界に飛ばされた様な感覚に飲まれそうになる
でももうここまで言ってしまったら後戻りできないし、コナンもなんとなく気付いただろう
「まさか!?」
「……うん、オレがしたんだ、観覧車の現場検証」