第12章 米花商店街の魔女
さすがに自分達のせいでこの喫茶店から安室透がいなくなってしまうのは嫌だよな、と思っていると、
「ごめんね、キミもビックリしちゃったよね」
とオレにも謝ってくれたから、やっぱり話せばわかってくれる良い子達なんだなってニコッと笑顔で返した
それから女子高生達は持っていた動画を削除するところを見せてくれて、動画を送ってしまっている相手にも「人違い。ただのそっくりさんだった」と訂正を入れてくれた
これでひとまず安心だな…
「透兄ちゃん、こっち来て」
女子高生から注文を取り終えた零の袖を引っ張りながら店の入口前のレジの陰へと移動する
何か言いたいことがあるんだろうと察してくれた零はオーダー表を梓さんへと渡し、目の前にしゃがんでくれた
「動画見せてもらった時にファイル名暗記したから、早めに裏から検索と解析かけて拡散されてないかだけチェックしておくね」
コソコソと小声で伝えると、さすがだなと言わんばかりの笑みをくれる
「助かったよ」
そう言われると零の役に立てたんだなって思えて、ご褒美をもらった子どもの様に嬉しい気持ちでいっぱいになる
おまけに頭も撫でてくれるから、心までも子どもになってしまったと錯覚さえしてしまいそう
そしてそれが顔に出ているんだろうな
そうすればオレが喜ぶとわかってくれていて、零はいつも頭を撫でてくれるんだ
……たまに消毒とか言って思い切りワシャワシャされることもあるけどね
カラン━━━
「あー!リュウくんが頭なでなでしてもらってるー!!」
「……!」
突然背後からの歩美ちゃんの声に肩が跳ねた
驚いて振り向けば元太と光彦も一緒に入店し、ニヤニヤこっちを見ているではないか
「リュウさんも意外と子どもっぽい所あるんですね!」
「大人っぽいって思ってたけどよ、そうでもねぇんだな!」
ケタケタ笑う3人に何も言い返せない
零も一緒になってフフっと笑ってるし…くそぉ…コナンや女子高生からは見えないからって油断した…!
「よっ!おめぇら何持って来たんだ?」
入口の騒ぎにコナンがやって来る
コナンが不思議そうに見ているのは3人がそれぞれ手にしている包装された小さな箱
「これね、さっきそこで魔女にもらったの!」
「もうすっかりハロウィンですよね!」
「お菓子が入ってるって言ってたから早く開けようぜ!」