第12章 米花商店街の魔女
反対隣りからはコナンに大丈夫かよと小声で心配され、苦笑いを返した
コソコソと話し続ける女子高生にお冷を持って来たのは梓さんで、零はオレが動きやすいようにと考えてくれたのだろうか、カウンターから出てくる様子はなかった
そのうち女子高生は一台のスマホを覗き込みながら「ほら、そっくり」なんて言い始めたから、きっと動画を一時停止にして実物のオレと比較しているんだろう…
それを見せて欲しいと思って少し女子高生の方へと近付いてみる
「ねぇお姉さん、カクシゴってなぁに?虫さんのお名前?」
子どもっぽく言ってみると、3人の女子高生はオレが話し掛けて来るとは思っていなかったのか驚いた顔で言葉を詰まらせてしまった
ちょっと聞くこと間違えたかな…とドギマギしていると、
「「「か、かわいい~!!」」」
と3人声を合わせてキラキラした目を向けてきた
中身は三十路間近の男だぞと思いながら、女子高生の眩しさにやられそうになる
「ねぇねぇ、そのスマホにボクのそっくりさんがいるの?見てみたいなぁ~!」
ちょこんと席から降りて隣りのテーブルへと近付けば、コナンが「ボクにも見せて!」と後に続いてきてくれたので助かった
きっとこういう女子高生との関わりはコナンの方が慣れてるだろうからね
そして女子高生もオレ達が子どもだからか何の疑いもなく「コレだよ」とスマホの画面をこちらに向けてくれた
意外にもあっさりと確認することができたので拍子抜けしてしまったが、ラッキーと思って早速動画を見せてもらった
最初に目に入ってきたのは一時停止されたオレで、まぁ間違いなく京都の清水寺の参道で撮影されたものだった
ちょうどオレが人質になった事件が解決した後で零と風見の事を待っていた時に撮影されたっぽい
「ホントだ、ボクそっくり!この隣りの人も透兄ちゃんに似てるね!」
「「「え?」」」
まるで自分ではないような言いぶりに女子高生はクエスチョンを浮かべる
「この動画の子、君じゃないの?」
「うん!すごくそっくりだけど、ボクここに行ったことないよ!」
「でも隣りの人は絶対あむぴだよね!髪の色変えてお忍びだったんじゃないかってみんな言ってるんだよ!」
「これ10月○日の動画でしょ?ボクこの日は透兄ちゃんとおうちにいたよ!」
女子高生に一問一答する様に答えていった