第12章 米花商店街の魔女
「実は…」
と話してくれたのは、京都での事件を解決したのが工藤新一だとネットで拡散されてしまい一時大事になってしまったという話だった
オレもそのニュースは確認していたが、警備訓練の事後処理や体制の立て直しに関わっていて気付いたのが遅く、何か対策をと思った時には事態は終息していた
「なんとか父さんと母さんがオレを見たって言った人物を特定して事をおさめてくれたんだけど、さすがに焦ったぜ…」
「まぁ今回はそれで済んだかもしれないけど、あんまり元の姿に戻るのもしばらく控えた方が良いかもしれないよ」
オレの言葉にコナンは組織に動きがあったのかと血相を変えて聞いてくる
詳しいことはわからないけど、実際にラムが動き出しているようだし、零も警戒しているようだったからと思って忠告したまでなんだけど、と言おうとした所に、零が飲み物を運んで来てくれた
「飾り付け、上手くできそうかい?」
コナンにはアイスコーヒーを、オレにはアイスカフェオレを
注文もしていないのに当たり前の様に出してくれるのが、なんだかここの常連さんって感じで嬉しくなった
テーブルに散らばる飾り付けの材料を避ける様に置かれたそれからは、カランという氷の音が心地良く響き、動きを止めた
そして氷の音とはまた別にカランと聞こえ、音の元である店の入口に目を向ける
ドアを開けて入ってきた客と目と目が合ってしまい、ちょっぴり気まずいなと目を逸らそうとすると、
「あぁぁー!!あむぴの隠し子!!」
と指を向けられ逸らしそびれてしまった
そう、店に入って来たのは例の動画を持っているであろう女子高生
3人での来店だったが、先頭にいる子の店に入っての第一声で、誰が動画の持ち主で騒ぎを大きくし始めているのかすぐにわかった
いらっしゃいませと席へ案内する零は平然を装っていて、女子高生は零とオレを交互に見ながらオレの隣りのテーブルへと着席する
めちゃめちゃ見られているが、何も知らないフリをして例の動画の確認をさせてもらおうと思う
「動画の子とそっくりだし、ここにいるってことはやっぱり間違いないんじゃない?」
「でもあむぴ昨日は違うって言ってたし…」
「子どもの方が正直に答えてくれるよ!でも隠し子だなんて聞いてもわからないよね…」
コソコソと話しているつもりだろうけど、すぐ隣りの席だから会話は全て筒抜けである