第12章 米花商店街の魔女
とは言ったものの、どうするかなーと窓の外を遠く見る
流れ行く街並みは10月ともあって、商店街を含むその近辺は既にハロウィンの飾り付けで賑わい始めていた
そういえばと思って、どうして最初からハッキリと調べて欲しい事を言ってくれなかったんだろうと零に問うと、意外にも女子高生達に「あむぴのえっち」と言われてしまったことを引きずっていたようで、オレに知られるのが嫌だったと教えてくれた
何を今更と思ったけど、あむぴのイメージ的には心外だったのかな…?
今度言ってやろ~なんて冗談を言えば、「叶音に言われたら唆る」とかよくわかんないことを返された
そんな話をしていればあっという間にポアロ付近の駐車場へと着いた
車を停め、零の斜め後ろを付いて歩けばすぐに目的地へと到着し、零が「お疲れ様です」と店へ入ると既に梓さんがカウンターに立ち作業をしていた
「梓お姉さんこんにちは!」
「リュウ君こんにちは!待ってたのよ!」
そう言われて梓さんの指差す方を見てみると、店の1番奥のテーブル席にコナンがひとり先に座っている
この少年がこの前会った高校生の工藤新一だなんて本当に信じられない…と言いたいところだが、自分だって大の大人の身体から今の姿になったんだ、改めて思うことでもなかったなとテーブルへ足を進めた
「他のみんなは?」
「博士んちに集合してから来るって言ってたから、そのうち来ると思うよ」
当たり障りのない会話を振ってコナンの隣りに座った
そして梓さんがカウンターの奥へ姿を消したのを見計らってコソッとこの前の話をする
「修学旅行でも事件に巻き込まれたんだって?無事に帰って来られて良かったな」
実は京都から帰ってきて直接会うのは今日が初めてだった
コナンが巻き込まれた事件の事はニュースでもやっていたし、警視庁へも情報が流れてきたのでなんとなく全貌は把握している
工藤新一として事件へ関わりを持ってしまった為に関係者はそれを口外しないようにと口止めされているのも知っていたりする
「まぁなんとかな…っつかリュウだって事件に巻き込まれただろ?あの時は本当に焦ったんだからな!」
「ごめんごめん…」
フォローありがとな、と言えば、自分もこの姿の時は周りに同じ様に思われてんだよな…と何やら反省している様なのでキョトンとしてしまった
「何かあった…?」