第12章 米花商店街の魔女
「ポアロで何かあった…?」
「…どうしてそう思うんだい?」
うーんと悩んでから聞いてみると、訳ありげに返ってきたその質問に更に首を捻らせた
確証はないからなんとなくとしか答えられないんだけどなって思ってたら、
「なんてね、何もないよ。かぼちゃを使い切る手伝いをして欲しいだけさ」
なんて言われたから拍子抜けしてしまう
「本当にそれだけ?」
「まぁー…少し調べて欲しい事はあるんだけど…」
「あ!ほらやっぱり!!」
一度濁した意味ってなんだったんだと思いながら頬を膨らませると、零はごめんごめんと苦笑いをする
そしてオレがポアロに出向いてまで調べる事柄に全く検討が付かず説明を求めると、ポアロへ移動しながら教えてくれるっていうから急いで支度をした
***
移動中の車の中で調べて欲しいと言われた内容を聞くと、先日の京都出張に関係している事柄だった
「じゃあオレ達が護衛付きで観光してるところの動画が一部で拡散されちゃってるってこと?」
「そうみたいなんだ。でもまだその動画をきちんと確認できていなくてね」
話によると、昨日来た常連の女子高校生達がスマホを片手に動画を見て、「髪の色違うけどやっぱりあむぴだよ!」「あむぴって子どもいたの!?」など何やら盛り上がりを見せていたようで…
違うと言っても女子高校生の熱はおさまらず、一緒に働く梓さんにも「シフト休んで京都ですか」と問い詰められたらしい…
「その動画元とかは確認できなかったの?」
「いやそれが、どんな動画なのか見せてもらおうと覗いたら、女子のスマホを見るなんてあむぴえっち~って隠されてしまって…」
ハハ…
あむぴにスマホは見られたくはなかったのか…
「それで?」
「幸いネットには上げられず学校内の繋がりの中だけで拡散されてるみたいなんだが、できれば消してもらいたいだろ?今日も学校帰りにポアロに来店すると言っていたから、叶音に動画の確認をお願いしたいんだ」
大人の男性よりも子どものオレの方が近付きやすいだろって零は言うけれど、これはなかなか難しいお願いをされてしまった
まぁネットに上がっていないのは助かるけど、どこで誰の目に入るかもわからないし、実際は本人だけど、似てるって理由で潜入捜査に支障があってもいけないからな
「わかった、なんとかしてみる!」