第12章 米花商店街の魔女
「それよりも、そのローラースケートは乗りこなせそうなのか?」
「うーん…もう少しでコツが掴めそうなんだけどね」
零はオレがこのローラースケートを使うことをあまり良くは思っていないみたいだ
危ないとかなんとかって色々言われたけど、零の緊急時の運転の方が危ないよって言ったら返事が返ってこなかったからきっと自覚はしているんだろう…
「リュウさん大分上達されたと思いますが、あまり長くやれば良いってもんじゃないので今日はこのくらいにしておきましょう。練習する時はいつでも言ってください」
「うん、付き合ってくれてありがとう!」
通常業務に戻るからと風見はオレの作った資料を持ち研究室を出て行った
「さて、僕達も次の仕事に行こうか」
「午後はポアロだったよね。オレも一緒に行かなきゃいけないポアロの仕事って?」
数時間前に受け取った内線で「ポアロの仕事を手伝って欲しい」とだけ知らされていたが、肝心の内容までは聞けていなかったからと思って聞いてみた
ポアロと言ったら外部の仕事だし、オレの様な子どもができることって限られてると思うんだけど…
「実は梓さんが材料の発注を間違えてしまって、かぼちゃが大量に届いてしまったんだ」
それは昨日のことで、パソコンでの注文をした際に「2箱」を「20箱」にして頼んでしまったそうだ
1箱10kg、20箱で200kg…この大量のかぼちゃを使い切るべく、零の考案でかぼちゃを使ったニョッキをメニューとして出すことになったらしい
「さすが零すぐ良案が出てくるね。でも大量のかぼちゃの件は解決したんじゃなくて?オレの手伝い必要?」
「ああ。あれだけのかぼちゃを捌く為にフェアをやることになったんだ。それで、ハロウィンも近いしせっかくだから飾り付けを子ども達にお願いしようかって話になってね」
「子ども達って…」
「察しの通り、コナン君達にお願いしているんだ」
コナン君達というのは、哀ちゃん、歩美ちゃん、光彦、元太のことを指しているんだろう
「オレがいなくても5人いれば十分なんじゃない?」
「乗り気じゃないなんて珍しいな。せっかくかぼちゃのニョッキをご馳走しようと思ったのに」
乗り気じゃない訳ではないんだけど、零自らそのメンバーにオレを追加するということが珍しくて、何か他にも事情があるんじゃないかって思ってしまったのだ