第11章 紅の出張
「観念するんだっ!!」
オレが転んで気を引き新一が女の子を保護したのとほぼ同時に世良さんが犯人に攻撃を仕掛けようとした
その一瞬をついてオレも犯人から離れようとしたが、一歩遅かった
「それ以上近付くんじゃねぇ!」
女の子を庇おうとした時点で覚悟はしていたけど、やっぱりこうなるよな…
「リュウ!」
「おっと…ガキがどうなっても知らねぇぜ?」
新一が一歩前に出た時、オレは既に犯人の左腕に抱き上げられる様に拘束され、刃物を首に突き付けられていた
私服警官達は目をまん丸くさせて「なんで要人のご子息役が」という様に驚いていて、抱き上げられたことによって見えるようになった守礼門の方からは騒ぎを聞いて零達が戻って来た
あ、なんだか零の顔が怒っているような気がする…あと風見も遠くからでもわかるくらい眉間にシワが寄りすぎてる…
「なんだガキ…怖すぎて声も出ねぇのか?このまま大人しくしてろよ?」
そりゃ刃物を突き付けられてたら怖くないわけではないんだけど、黙って人質になってやれば調子に乗りやがって…
「Why are you doing this? I'm scared...」
「あ"あ"?」
まさかこの犯人、英語が通じない…?
「Throw away the knife and be quiet!」
「るせぇ!なんだこのガキ外国人か!?」
ナイフを捨てて静かに大人しくしろと言ったけど、やっぱり英語はわからないみたいだ
言葉が通じないのであれば好都合!
「This person doesn't understand English!」
「あんだ?ぐりっしゅ?さっきから何だってんだ!コイツ日本語通じねぇのか!?コレはわかるだろ?包丁だ、包丁。静かにしねぇときるぞ!?しー!だ、しー!わかるか?あ"?」
いや馬鹿なのか
せっかくだから怖がってるフリでもしとこうかとも思ったけど、なんだかマヌケな犯人で、これから出会う犯罪者はこういう奴がいいと思ってしまった
そしてオレに見せつけたその包丁、模造品だな
本物そっくりに光っているけど、オレの目は誤魔化せない
「OK、OK!This knife is a fake!Secure at any time!」
「そうか、オッケーか。わかりゃいいんだよわかりゃ…」
刃物は偽物、いつでも確保してって言ったんだよ…