• テキストサイズ

星降る音に祈りを【DC降谷/幼児化男主】

第11章 紅の出張


女性のただ事ではない悲鳴に身体は反射的に動いていた
声のした方へ走り出すと、オレに続いて新一と世良さんもすぐに足を動かす

「おらどけぇー!!!」

人混みを掻き分け男の怒号が聞こえた方向へと進むと、観光客はその男を避けるように端へと逃げ、中央に広場ができる
その中央に出た時、目に入ったのは帽子にサングラス、手には女性物のバッグと刃物を持った声を荒らげる男だった
男のいる所から少し離れた所にはしゃがみ込んだ女性がいる
きっとその女性が被害者で、男は観光客を狙ったひったくりだろう
女性の元にはすぐに私服警官が寄り添っているから、一先ず被害者の安全は確保されている
そして男を取り抑えようと様子を見ている一般人に見える人もまた私服警官だ
なんでこんな警官だらけの今日に犯行に及んだのか…タイミングが悪すぎて同情してしまいそうになる

「いいかお前ら、俺がここからいなくなるまで動くんじゃねぇぞ!」

要するに、犯人は盗んだバッグを持って逃げることができればそれでいいって事だろうな
取り抑えようとすればできるんだろうけど、興奮しながら刃物を持っていては慎重にならざるを得ない
それに犯人はキョロキョロと何かを探している…もしかして逃げる為に人質でも取る気なんじゃないかと、なんとなく長年の勘が働いた
犯人の周りで人質にされそうな人は………いた!

ザッと犯人の周りを見渡せば小さな女の子が震えながら怖がっているのが目に入る
オレは考える間もなく人混みの間を潜りその女の子の元へと急いだ
こういう時に決まって狙われるのは抵抗できなそうな小さい子!!

駆けながら犯人の様子を見ていると、周りに刃物を向けながらじわりじわりと女の子の方に近づいている
私服警官達も気付いているんだろうが、犯人の視界に入っている人物が動き出したら何をするかわからないから、誰も動けないでいるのだろう
となるとまだ犯人に気づかれていないオレがなんとかするしかない
この身体じゃ犯人を抑え込むのは無理だから、やることといったらアレしかない
一か八かではあるけれど、一般人が人質になるよりはマシだ

そう思って人混みの間を割るように出て、女の子と犯人の間に盛大に転んで見せた

「わあッ…!」
「な、なんだクソガキィ!!」

その隙にいつの間にかこちらに来ていた新一が女の子を保護してくれた
ナイス新一!!


/ 344ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp