第11章 紅の出張
高校生の壁から元いた場所を遠目に見ると、オレがいなくなった事に驚いている零の姿が見えた
周りの私服警官もすぐに伝達が行ったのであろう、キョロキョロと周りを見渡している
零はたぶんオレが仁王門を通り先に進んだと話していて、ガイド役と門をくぐって行った
そしてそれに合わせて私服警官も門の先へと次々に消えていく
何人かはこの場に残ってあちこちを捜しているみたいだったけど、高校生が多くて子どものオレは完全に隠れてしまい見えていない様だった
さてこれからどうするか…と思っていると集合写真を撮り終えた集団の中に今日会いたかった人物を発見した
「新一兄ちゃんっ!!」
「うぉ!?えっ!?えぇぇぇぇー!?」
ここに来てからずっと捜していた工藤新一を見つけ、足元に飛びついて行った
オレがいるだなんて全く思っていなかったであろう、どうして、なんで、とワタワタしながらオレを足から離して目の前にしゃがんだ
「はじめまして、工藤新一君!」
「はじめましてじゃねぇよ!なんでリュウが京都にいんだよ!?」
「新一兄ちゃんに会いたくって!」
コソコソと話す口調はコナンなのに見た目も声もバッチリ高校生な姿に少し違和感を感じながらも、すごく焦っている様子がおかしくてついつい虐めたくなってしまう
「新一、そんな所にしゃがんでどうしたの?」
「いや!な、なんでもねぇよ!?」
新一の背後からやってきたのは蘭さんだった
「あ!蘭お姉さん!!」
「えっ!?リュウ君!?」
会うのは久しぶりだったけど覚えてくれていたみたいだ
新一と同じくどうしてここにと聞かれたが、親戚のおじさんに連れてきてもらってるんだと表向きはそう通した
「あ~ら、二人で密会かしら~?」
そう言いながらこっちに向かってきたのは、確か鈴木財閥のお嬢様、鈴木園子さん
「迷子の子でも見つけたのかい?」
続いてやってきたのは…なんだかどこかで見たことある様な気もするんだけど…
「違うの、この子はリュウ君っていって、コナン君のお友達なのよ。新一、リュウ君のこと知ってたの?」
「お、おぅ!ある事件で会ったことがあったし、コナンから話は聞いてたからな!…な!?」
そういう事にしといてくれと言わんばかりに最後の「な」を強調された
「はじめまして!音月リュウです!よろしくお願いします!」