第4章 夜想曲/ポアロの彼と名探偵と
警視庁から来た目暮警部により事情聴取が行われた
まず、被害にあった女性の名前は“樫塚圭”さん
コインロッカーの捜査を依頼した人である
圭さんは探偵事務所に着くと助手と名乗る男に出迎えられ、スタンガンで気絶させられて気がついたらガムテープで拘束されてトイレに押し込まれていたそうだ
男は毛利先生が戻ってきたことで圭さんを監禁していることがバレたと焦り自殺した
トイレの中で男はコインロッカーの場所を聞き出そうとしていたらしく、どうやらそのコインロッカーを早く見つけないとヤバいことになるとかなり焦っていた、と圭さんは言う
コインロッカーの鍵は圭さんの亡くなったお兄さんの物で、その鍵が目当てということはあの男はお兄さんの知り合いの可能性が高いとみたが、圭さんは全く見覚えがないらしい
「ちなみにお兄さんは何で亡くなったんですか?」
「……」
あれ?
零の質問に圭さんは答えない
すぐ傍からの問いかけなのに、よほど気が動転しているのか、聞こえていないのか…
「お兄さんの死因は!?」
「あ、はい…」
零が少し大きめの声で聞くと、やっと反応があった
圭さんのお兄さんの死因は事故死
携帯の待ち受けになっているお兄さんの写真も見せてくれた
この人…どこかで見たような気がするけど…
「携帯電話といえば、自殺した男のこの携帯が妙なんだ…」
目暮警部がピッピッと携帯を操作しながら、携帯には毛利先生宛の一通のメールのみしかなく、電話帳も真っ白と教えてくれた
それから男のポケットに入っていた所持品も全て見せてくれた
スタンガンに、タバコ、財布に、傷だらけのライター、そして大量の小銭…
小銭は5000円分になるらしく、財布の中は1万円札2枚、5千円札5枚、千円札が47枚と妙な感じ
「そういえば、不思議だなってことが1つあるんだけど…」
「そういや君は少年探偵団のお友達かね?」
「いえ、僕の助手です!」
そう言ってくれたのは零
その零にも目暮警部は何でここにと呆れた顔をしていた
毛利先生が説明すると更に呆れた様子だったが、ちゃんと受け入れてくれた様で
「それで?毛利君の弟子の助手は何が不思議なのかね?」
なんだかややこしいな…
「あのね、圭さんのブーツの紐の先に結び目があって、何でかなーって思ったの」
「あれは子どもの頃からの癖よ…」