第4章 夜想曲/ポアロの彼と名探偵と
依頼人を毛利先生に会わせたくない人物がいて、場所変更のメールで先生を追っ払い、空になった事務所で事務所の人間としてその依頼人と落ちあった…
零の推理に驚くのは毛利先生と蘭さんの2人で、コナンは特に驚いていない様子
何かに気付いているに違いない
「透兄ちゃん、オレ、ドアの鍵穴が傷付いてるのと、トイレの前に引きずった後があったの見つけたよ!」
「僕も、テーブルの上に落ちてたタバコの灰がきれいに拭き取られてたの見つけたよ!」
コナンも負けじと追ってくる
「2人ともさすがだね。僕も食器棚の中にわずかに濡れたティーカップを見つけました」
つまりそれは、留守中に何者かがドアをこじ開け、テーブルをきれいにし、紅茶を出して依頼人をもてなした証拠
そしてトイレを使おうとする度に鳴った携帯、トイレの前の引きずった跡、その何者かはまだ事務所のトイレの中に…
パァン━━
「えっ!?」
音の鳴った方に目が向く
同時にコナンが走り出しトイレのドアを開けると、そこには便座に座ったまま自分に銃口を向けて亡くなっている男性と、ガムテープで口を塞がれて両腕両足を拘束され泣いている女性がいた
「蘭、警察に連絡だ!!」
「はい!」
この状況を見てすぐに動けるだなんて、さすが探偵の娘と言うべきか、それとも事件に慣れすぎてしまっているのか…
蘭さんが警察に一報している間に毛利先生は女性の救助、オレと零とコナンは死体や現場の状況確認をしていく
現場の物には触れないようにし、男性の銃の握り方や血の飛び方からの方向分析等、不自然な点がないかを探っていく
鑑識カバンさえあればすぐにでも記録や鑑定ができるが、大人しく警察の到着を待たなければならない現状にモヤモヤするばかりである
「リュウはさ、こういう現場平気そうだね」
「へ?」
現場確認に夢中になっていると、同じく細かく見ていたであろうコナンが話し掛けてきた
「子どもだったら、普通怖くなったりするんじゃないかなーって思って」
「そう言うコナンだって平気そうだけど?」
「僕は小五郎のおじさんと一緒にいるからこういうの慣れてて…」
こんな現場、慣れるもんじゃねぇけど
「オレもコナンも、普通じゃないのかもな」
「え、それってどういう…」
「警視庁の目暮です!」
コナンの言葉を遮る様に、早々警察が到着した