第10章 ストラップの行方
事実を知ってる人が聞いたら誰だって反対するはず
オレだって今は自由に動いているけど、幼児化したての時はあんまり外を歩かせてもらえなかったんだ、元の姿で出歩くだなんて以ての外だ…
「でも止めたところで止まらないだろうし、どちらかと言うと楽しんで来てって送り出したい気持ちの方が強いんだよな…」
自分が修学旅行にすごく特別な思い入れがあるわけじゃないけど、やっぱりその時にしかできないことは経験して欲しいからさ
「僕だって気持ちはわかるよ。まぁ、修学旅行近辺の組織の動きはできる限り探っておくから、叶音はそれとなく日程を聞いといてくれるかい?」
「うん、くれぐれも気を付けるようにって念も押してくるね」
何事もなく過ぎることを願うしかないと零は言う
無理にでも止めるのかなって思ったけど、そうではないみたいだ
「それにしても修学旅行だなんて懐かしいな…帝丹高校は毎年京都方面だから、今年も京都だろうね」
「京都か…オレ修学旅行で行ったきり仕事以外で行ったことないかも」
何度か上司に連れられて行ったけど仕事だったし、泊まった先は旅館ではなくビジネスホテル
温泉も堪能できず、特に観光もできず、新幹線までの待ち時間で駅ナカのお土産を見ただけ…
仕事柄旅行とか行ってる場合でもなかったし、この姿で気軽に行けるはずもない
しかも修学旅行だって何年前の話を思い出してるのかって話で…
「そうだ、京都に行こう…」
「それは何かの宣伝か?」
「違くて!いつか有給使って零と京都に旅行に行きたいって話!」
そう簡単に有給なんて取れないからいつ行けるかなんてわからないけど、もしもまとまった休みがもらえる日が来たなら、零と京都に行きたいなって思ったんだ
「有給か…消化しないとと思ってはいるけど、まとまってはなかなか難しそうだな…」
「無理にとは言わないよ!いつか、行けたらいいよね!」
そうだなとニッコリする零
京都に行けたらどこを見て回りたいかを話しながら、RX7は自宅へと向かう
その後入ったコナンからの連絡によると、哀ちゃんはいつもの様子に戻ったとのこと
後日改めて哀ちゃんを含めて修学旅行のことや解毒薬の話を聞き、コナンには気を付けるよう念を押したんだけど…
まさかあんな話が舞い込んでくるだなんて想像もしていなかったよ…
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