第10章 ストラップの行方
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「じゃあ哀ちゃんによろしく!」
「あぁ。リュウ、安室さん、ありがとな!」
阿笠博士の家の前でみんなを降ろし、助手席に座り直した
哀ちゃんに会って行かなくていいのかって言われたけど、今日は零をずっとオレの用事に付き合わせてしまっているからこれ以上待たせるのは申し訳ないなって思って帰ることに…っていうか2人でこんなに一緒にいられる日なんて早々にないから少しはゆっくりしたいかもとか思ったりもしてるんだけど…
「零、今日は一日ありがとうね」
「お礼を言われることなんてしていないさ。それに、予定外だったけど叶音と海に行けたしね」
車は阿笠邸を出発した
「まさか落し物を追いかけてあんなことになるとは思いもしなかったよね…」
よく見つかったよなと、頭の中で辿ってきた道のりを思い返した
そしてよくよく考えて今更なことを思いつく
「あのさぁ、探偵バッジの場所がコナンのメガネでわかるんだったら、元太がバッジを落としたって言った時点で調べれば良かったよね。そしたら元太のフードに入ったストラップはファミレスの駐車場で落ちる前に見つかっていた訳で…」
「でもそうしたらコナン君のお手並みは拝見できなかったからな…」
……ん?
もしかして零は気付いていた…?
「ねぇ、まさかとは思うけど…」
「目的はバッジじゃなくてストラップだったからね。バッジは後からでも調べればわかるんじゃないかって思ったし、その時はまだ元太君のフードにストラップが入っているだなんて思わなかったろ?」
それはそうだけど、言ってくれても良かったのに…
「それにコナン君が彼女の為にあんなに一生懸命になっているのも気になっていたからね」
「あ、それだけどたぶんね…」
コナンは哀ちゃんから解毒薬をもらって工藤新一の姿に戻り、修学旅行に参加するつもりなんだと思うってことを伝えた
哀ちゃんは組織の恐ろしさを知っているから簡単に解毒薬を使わせようとする人ではない
ここぞという時にしか絶対に使わないのはわかってるんだけど、今回は大事な落し物をあの手この手で探し回ったんだ
それを聞いたらコナンの要求も飲むんじゃないかなと思ってるんだけど…
「元の姿に戻って修学旅行に参加だなんて…大丈夫かな…」
「うーん…良案とは言えないな…」