第10章 ストラップの行方
「光彦は灰原の事が好きなんだよな!」
「げ、元太君!僕の事は言わなくていいですから!!」
ふーん…光彦は哀ちゃんか…
なんだか小学一年生の好きって可愛いなぁなんて思ったけど、コナンも哀ちゃんも元の姿に戻る日が来たらと考えると、歩美ちゃんも光彦もなかなか難しい恋をしている
「元太は好きな人とかいないの?」
「俺はうな重が一番好きだぜ!」
「元太君、それ人じゃありませんよ…」
元太はまだまだ恋愛をするには遠いようだ…
「リュウ君はどうなんですか?やっぱり灰原さんなんでしょうか…」
「え!?オレが哀ちゃんを!?」
光彦が言うには、宅配車に閉じ込められた時の哀ちゃんへの配慮が大人だったとか、哀ちゃんがオレに向ける視線が何か違うとかで、オレと哀ちゃんの様子にヤキモチを妬いているらしい
対応が大人だったと言われてしまうのは中身が大人だから仕方ないとして…哀ちゃんがオレに向ける視線…?
ただ単に警戒されていたか研究対象者として見られていただけだと思うんだけど…そっか、光彦にはそう見えているのか…
「光彦…オレが好きなのはカフェオレだから心配しないで、ね?」
「えー!リュウ君までそんな事言うんですか!?」
「俺と一緒だな!」
オレが好きなのは哀ちゃんじゃないと言ったら「じゃあ誰ですか」と聞かれそうだったから、元太案に乗っかって答えてみた
光彦は真面目に答えてくださいと頬を膨らませているが、元太はすごく嬉しそう
隣りに立つ零なんて静かに肩を震わせて笑ってる
「みんなお待たせー!」
「少しはキレイになったと思うぜ!」
話をしている間にコナンと歩美ちゃんが戻ってきた
ストラップは拾った時より多少キレイになっていて、乾かせばなんとかなりそうな感じだ
「じゃあ急いでお友達の所に帰ろうか」
「「「はーい!」」」
帰りの車内では零が買ったウォーターリングゲームを1人ひとつずつ手にし、遊びながら帰った
ストラップが戻って安心したのか車内は明るく、運転する零も楽しそうだった
みんなの服や顔が所々汚れているのが今日の子ども達の頑張りを物語っていて、夏休みも早々に大冒険をしてしまったなという感じだ
ちなみにストラップはエアコンの送風口にぶらさげてあるから、きっと阿笠博士の家に着く頃には乾くかな…
哀ちゃんにも元気が戻りますように…