第4章 夜想曲/ポアロの彼と名探偵と
***
「それにしても来ないね、依頼した人」
食事も終えて飲み物を飲みながら雑談していると、ふとコナンが入口を見ながら呟いた
「会う場所をここに変えようというメールにOKの返事はしたんですよね?」
「あぁ、すぐに返信したし…」
ここで待ってるってさっきから何度もメールをしたけど返事がないらしい
他にコロンボというお店はないらしいからここで合ってるはずなのにな
「ん?昨日とさっきのメール、アドレスが違ってるな…」
「え?」
じゃあ毛利先生の返事は本人にきちんと届いていないかもしれなくて、依頼人は初めから約束してた毛利探偵事務所で待ってるかもしれないってこと?
「仕方ないですね、一旦探偵事務所に戻りましょうか」
「ちっ面倒だなー」
零の言葉に席を立つ
毛利先生、30万の為に面倒がらないで戻ろうか…
***
で、毛利探偵事務所に戻って来たわけだが……
「って、誰も待ってねーし」
毛利先生を先頭にガチャっとドアを開けて事務所に入る
……あれ?
なんとなく目に入ってきたドアノブに違和感があって零の袖を引っ張って止めた
口には出さず目で合図をすると零もすぐにわかってくれて、これはピッキングの跡で間違い無いだろうとお互いに頷いた
事務所に入ってからもなんとなく違和感はあって…他人の気配が残っている気がする
「紅茶でも飲んで待ってる?」
「紅茶を入れるなら手伝いますよ」
蘭さんと零はカップボードの方へ、毛利先生はトイレに入ろうとそれぞれ動き出すと、毛利先生の携帯が鳴った
「依頼人から返事だ!『たった今コロンボに着いたから来てください』って」
だったら早く行かなきゃ、と言う蘭さんに毛利先生が1人で行こうとするが、コナンもトイレに入ってから一緒に行くと、毛利先生を足止めた
しかしコナンがトイレに入ろうとしたところでまた依頼人からメールが届く
「『急いでみんなで来てくれ』って…」
え?オレ達も?って思うのが普通かな
このメールのタイミング、何かある…
「ではまたみんなでコロンボに行きましょう!」
零に背中を押されてみんなで一度事務所を出た
パタンと扉を閉めると、扉の前で零が人差し指を立てコソコソと話を始める
「恐らくこういうことですよ…」