第10章 ストラップの行方
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零の車でファミレスの駐車場へ戻って来たオレ達は、すぐに元太がフードを被った辺りで哀ちゃんのストラップを探した
ざっとみた感じ周辺に落ちている様子はないので車の下に入ってしまったか、お店に届いているか、ここにもないか、といったところだろう
お店へは零が確認をしに行ってくれていて、その間にオレ達は地面に這いつくばるように車の下を見て回ったり、茂みの中を探したりした
「コナン君、本当にここにあるの…?」
「あぁ、元太がフードを被った時にバッジと一緒に落ちたに違いないさ」
歩美ちゃんが不安を口にしたが、コナンは諦めようとはしていなかった
「ダメですね…茂みの方には見当たりません…」
「お店の方にも届いていないようだよ」
茂みを探していた光彦と元太はしょんぼり、店に聞きに行っていた零はズボンのポケットに両手を入れながらコナンの所へ戻って来た
そして端から見て回った車も残る1台
運転席側からコナンが、助手席側からオレが覗き込むと…
「「……あった!!」」
哀ちゃんのストラップであろうぬいぐるみが車の真下のちょうど真ん中辺りに横たわっているのが見えた
「やったな!!」
「やりましたね!」
「これで哀ちゃんもきっと喜ぶね!!」
地面に身体を付けながら思い切り手を伸ばすコナン
コナンが届かなければオレがと思って反対側から見守っていたが、コナンの手がしっかりと哀ちゃんのストラップを掴み、車の下から救出されて行く
立ち上がって近寄ると、やっと哀ちゃんのぬいぐるみストラップに会うことができた
しかしそれは雨に打たれていて、駐車場ということもあった為に無惨な姿に変わっていた
「あったけどよ…」
「汚れが酷いですね…」
「車にひかれた跡もあるよぉ…」
片目も取れていて、これを持ち帰ったら哀ちゃんは更に落ち込んでしまいそうだ…
「まぁ…ないよりはマシだろ!洗ってキレイにしてやろうぜ?」
そう言ったコナンは隣りの公園で洗ってくるから待っててくれと駆け足で行ってしまった
「歩美も行くー!」
遅れて歩美ちゃんもコナンを追いかけて行く
「歩美は本当にコナンの奴が好きだな!」
「ですね~」
へぇ~…歩美ちゃんはコナンの事が好きなのか…
公園の水道でストラップを洗う2人を遠くに見ながら、なんだか微笑ましいなぁと思った