第10章 ストラップの行方
哀ちゃんの比護選手ストラップ、男の子の真田選手ストラップ、この男の結婚指輪入り比護選手ストラップ……
男のストラップは例の親子が拾い、男の子のストラップは男が拾った
零の話を聞きながら、よく3人同時にあの場所あのタイミングでストラップを落としたなぁと思ってしまう
そして今ここにあるのは男の子の真田選手ストラップと、男の比護選手ストラップなわけで、じゃあ肝心な哀ちゃんのストラップはどこにいったのか…
「俺の探偵バッジは見つかったのによ…」
全員が同じ思いの中、元太がポツリと呟いた
そう、ストラップより小さい元太のバッジは見つかったのに、なんで哀ちゃんのストラップはみつからないんだろう
「ん?それどこで見つけたんだ?」
「ファミレスの駐車場で雨が降ってきた時にパーカーのフードを被ったら、カンカンって落ちてきたんだよ!な、リュウ!」
「うん…フードの話は聞いてなかったけど、車から元太の所に戻った時に、バッジがあったって話はしたんだよね」
コナンの問いに答えた元太に話を振られたが、あの時は雨が酷くて急いで車にと思ったから詳しく聞かなかったなと思い出す
そうか、フードを被った時に…ってことは無くしたと思っていたバッジとはずっと一緒に行動していたのか
取扱所で聞いたって届いてないわけだよ
……え、まさかとは思うけど…哀ちゃんのストラップも元太のバッジの様にフードに入り込んだのかもしれない?
同じことを思ったのか、コナンは元太のフードを引っ張り中を覗いた
「お、おい何だよっ!?」
「ここにない…ってことは、灰原のストラップはファミレスの駐車場だ!!」
暗くなる前に急いで戻ろうと焦っているコナン
哀ちゃんの為にと必死になっているのは解毒薬を貰う為だと薄々気付いていたけれど、もしかしてさっきサッカーボールを蹴った時に言っていた“修学旅行”の為に解毒薬が必要なんだろうか
…うん、そうに違いない
工藤新一は高校三年生、一度しかないこの機会にぜひ参加してもらいたいとは思うけど、コナンが工藤新一の姿に戻って修学旅行へ参加する…そんな危険なことをして大丈夫なんだろうか…?
組織の目に止まったりでもしたら…
「リュウ早く行くぞ!」
「あ、うん…!」
指輪の入ったストラップは持ち主の男にきちんと返し、オレ達はファミレスへと急いだ