第10章 ストラップの行方
そしてキャッチできなかったストラップを追って倒れ込んだ3人の隣りをコナンは早足で駆け抜け、波打ち際でストラップ目掛けて飛んだ
「…コナン!!」
叫んだ時には既に遅く、飛んだコナンはそのまま水面へと落ちて行った
ザパァンッ━━!
大きな波しぶきを上げた水面から姿を現したのは、尻もちをついてずぶ濡れになったコナン
手にはしっかりと比護選手のぬいぐるみストラップが握られている
「あれがキック力増強シューズか…東都水族館の時にはあの状況でよく見えなかったからな…」
「あの靴で蹴ったサッカーボールには当たりたくないな…」
零の感心している言葉にハハハと苦笑いで、コナンに駆け寄る子ども達を見守った
とりあえず哀ちゃんのストラップは無事に戻ってきた様だ…
「さてと……オジサン大丈夫?」
コナンの攻撃を受けた例の男は砂浜に倒れたきりなかなか起き上がらない
隣りにしゃがんで様子を見ると、呻き声を上げながらようやく身体を起こした
コナンと子ども達も戻ってきて、男はコナンの握るストラップに手を伸ばしながら思ってもいなかったことを言う
「ストラップの中に…婚約指輪が…」
「「「「えぇっ!?婚約指輪!?」」」」
何で哀ちゃんのストラップに婚約指輪…?
コナンが比護選手のぬいぐるみの背中を確認すると、ちょうど縫い目の部分から綺麗な指輪が出てきた
男の話によると、男の彼女が比護選手の大ファンで、指輪を入れたストラップをサプライズで渡そうとしていたそうだ
しかし電車の中で指輪がきちんと入っているか心配になりカバンから取り出したところに急ブレーキがかかり、揺れた弾みでストラップを落としてしまう…
すぐに拾ったがそれは比護選手のストラップではなく真田選手のストラップで、近くにいた親子が比護選手のストラップを拾ったのを見たが見失ってしまい交換ができなかった
とりあえず落し物取扱所に届けに行き親子が来ないか待っていた所にオレ達が来て、ストラップを探してくれそうだと後をつけた……と
歩美ちゃんが「絶対に誰にも渡さない!」と言っていたのを聞いて言うに言い出せなかったようだ
「つまり電車の揺れでストラップを落としたのは3人いた…」
零が話を整理してまとめてくれる