第10章 ストラップの行方
子ども達を追って外に出るとポツポツと雨が降り始めていた
「にわか雨みてぇだから、早く安室さんの車に乗っちまおうぜ?」
「リュウ君早くカギ開けて!」
「今行く!」
駆け足で追いかけ、急いでRX7のカギを開けた
また歩美ちゃんから乗り込んでもらいオレが最後に乗ってドアを閉めようとした時、まだ車から離れた所にいる元太が目に入った
「元太どうした!?」
何かあったのかと雨に打たれながらフードを被った元太の元へと戻ると、なくしたはずの探偵バッジを見せてくれた
「なんか知んねぇけどバッジ見つかったぜ!」
「お!良かったじゃん!これで駅に問い合わせなくても大丈夫だな!」
濡れるから早く行こうと促し車に乗り、零が来るのをみんなで待った
このまま続くような雨だったら潮干狩りもすぐにお開きになりあの親子に会えずストラップの行方もわからなくなってしまうところだったが、にわか雨なら大丈夫だろうな…
零と風見は上手く連絡取れたかな…と店の入口を見ていると、会計を終えた零が出てきた
一瞬だけ雨に驚いた顔を見せていたが、走って戻ってきてくれてこのまま千槍海水浴場へと車を出してくれた
***
海水浴場に着く頃にはにわか雨も上がり、もうすぐ夕方になりそうな時間だというのに再び太陽の光が照りつけた
「えぇ~…」
車を降りて海水浴場の砂浜に立つと、見渡す限り、人、人、人……人を捜すには気の遠くなりそうなこの状態にそれぞれ声を洩らした
シーズンオフの潮干狩りのはずが予想以上に人が多く、海の上に見える入道雲が遠く感じる…
「せめて名前とかわかっていたら…」
光彦の言う通り、それさえ分かれば早いんだけど…
零が風見と連絡を取ってどうなったのかはまだ聞けていなくて、チラリと零を見上げた
「……!」
ちょうどそのタイミングで零のスマホに着信があり、オレ達に背を向けて零は小声で電話に出た
「乗れたか…?」
ということは、零はやっぱり神奈川方面にいた風見にコナン達が乗った車両に乗るよう指示したんだろうな
零の話を聞いてる限りだと、ちゃんとその電車に乗れたみたい
ちょうど近くにいたのかな…?
「何て書いてある?」
潮干狩り客の方を見ていたコナン達も電話で話す零の方を向く
コナンなんてニッと口元を上げていて、電話の向こうの相手の状況を察したのかもしれない