第10章 ストラップの行方
「お魚釣りとか?」
「でも竿持ってねぇぞ?」
「山登りにしては軽装すぎますし…」
うーんと3人が悩んでいる間に右隣りで何やら検索している零のスマホを覗き込むと、既に親子の行き先を特定したのか千槍海水浴場の干潮時間を調べていた
なるほど、この時期に潮干狩りか…
左隣りでコナンも潮干狩りなんじゃないかとみんなに言っていて、子ども達になんでこんな時期にと疑問を投げかけられている
「実は潮干狩りって一年中できるんだよ!」
そう言うと「えぇ!?」と驚かれたが、コナンが加えて説明をしてくれた
「ベストシーズンは4月~5月だけど、7月に入っても潮干狩り会場を開いている海水浴場はザラにあるよ」
「今日の千槍海水浴場の干潮時間を考えると、その親子がみんなと同じ電車に乗ったのもうなずけるね!」
干潮時間から逆算して1~2時間前に到着をしているのがベストだと、調べた干潮時間から推測してくれた零が教えてくれた
まずは海水浴場に行きこの親子を捜さなくては…
このお父さんも拾ったストラップが息子の物でないとわかれば返してくれるだろうし、なんとか哀ちゃんのストラップまで辿り着けそうだ
ただ海水浴場は人で溢れていそうだし、やはり名前は把握して呼び出しした方が確実だと思うんだよな…
チラッと零を見ると微笑み返してくれて、もしかしてもう策は考えているのか?と思った
その向こう側では歩美ちゃんがストラップ奪還に燃えて、
「受け取ったら哀ちゃんに返すまでもうぜーったい誰にも渡さないんだから!」
絶対の絶対!と言っていて、みんなで頷いた
「じゃあ早速千槍海水浴場に出発だね!」
席の端から順番に立ちレジに向かう途中でスマホにメールの通知が来て開けてみると、
『僕から連絡しておくから』
と零からの連絡だった
風見に連絡を入れるなら子ども達がいては邪魔になっちゃうかな
察しの良いコナンもいることだし
「透兄ちゃん、みんなと先に車に乗ってて良い?」
「もちろん。会計済ませて行くから先に車へ…」
零とみんなを一旦離すべく車のキーを受け取った
「ありがとね安室さん!」
「「「ごちそうさまー!」」」
挨拶をして先に店を出ようとする子ども達の背中を確認し、零と目を合わせた
「「(そっちは頼んだよ)」」
きっと零も同じことをアイコンタクトに乗せたに違いない
頷いて子ども達の後を追った