第10章 ストラップの行方
「あの男の子は僕達と同じ小学1年生の様ですから、お父さんが例えにヤイバーを出すのは無理ないですね」
「ん?なんで1年生ってわかるんだ?」
光彦の情報にコナンが尋ねると、これはかなり良い情報なのではというような答えが返ってきた
「だって電車の扉の窓ガラスにハーって息を吹きかけて指で書いてましたから!『ひらがなだけど書けるようになったよ!えらいでしょ?』って!あれ、きっと自分の名前だと思います!」
残念ながらなんて書いてあるのかまでは見えなかったみたいだけど、窓に書いた文字であれば、上から拭き消されなければまだ残っているに違いない
「君達が乗った車両は何両目だったか覚えているかい?」
「確か前から3つ目の真ん中に乗ったと思うぜ!」
同じことを思ったのか零が聞くと、元太のお陰でどの車両の窓なのかわかった
あとはその車両が今どこを走っているかなんだけど…
「なぁ、米花駅に何時着の電車で帰ってきたんだ?」
「ん?確か…」
隣りに座るコナンにコソッと聞いた時間で電車の運行情報をスマホで調べた
コナン達が乗ったのは高崎発13時14分…となるとこの車両は今、神奈川の南の方を走ってる頃か…
「っておめぇまさか…」
「んな訳ないって。今からその車両追っかけて乗るには無理があるでしょ?」
実際に乗ってその男の子が指で書いた窓に息を吹きかければ、男の子が書いた文字が再び浮き出てくる筈だ
でもここからその電車を追っていては戻って来る頃には日が沈んでしまうだろうし、そうなればこの親子を見失ってしまう
神奈川方面であれば、確か風見が午後から協力者に会うとかで行ってると思うんだけど…お願いするには忙しいかな…と思いつつ、高崎発13時14分の各駅到着時間の一覧をスクショしてまずは零に送った
もしかしたら零も同じことを考えているかもしれないし、そうでなくても送ったスクショ画面で察してくれると思うしね!
「何て書いたかホントに覚えてないの?」
「はい…電車の窓にあてたその子の白い指は覚えているんですけど…」
歩美ちゃんに答えた光彦の話に、もう一度親子の写ったスマホを確認する
この親子は真っ黒に日焼けをしているが、確かに光彦の言う通り手首から先は真っ白で、炎天下の中手袋をはめて何かをしていたことがわかった
この時期に手袋をはめて親子でできることと言ったらだいぶ限られてくる