第10章 ストラップの行方
***
「さて、どうやって捜しましょうか?」
駅を出たオレ達は零の車で近くのダニーズに行き捜査会議をすることにした
各々飲み物を頼み、楕円形のテーブルを6人で囲む
テーブルの真ん中にスマホを置き、男性がストラップを拾った所の画像を表示してそれを見ながら手掛かりを探していく
「この男性、見たところ親子共々かなり日焼けをしているようだけど…」
「もしかしたら、海水浴に行く所なんじゃないでしょうか?」
零が男性の特徴を言葉にすると、それを聞いた光彦が日焼けから海水浴を連想させた
7月になり海水浴のシーズンでもあるから有り得ない話ではないけど…
「時間的にどう?海水浴だったら帰り道な時間だし、でも電車の方向的に海水浴場からの帰りではないよね」
そう言うと、コナンは更に詳しく説明をしてくれる
「あの動画は午後3時にサッカーの試合を観戦し終えてあの電車に乗った俺達が10分かけて米花駅に着いた所だから、これから海水浴って訳ではない。かと言って俺達が乗った湘南新宿トレインは群馬の高崎から出発してるから、米花駅まで海なんかねーし、海の帰りでもないな」
だったら…と歩美ちゃん、元太、光彦はプールや虫取り、ただ単に知り合いの家に遊びに行ったんじゃないかなど色々な可能性を出してくれるが、どれも漠然としていて埒が明かない
この親子の情報がもう少しあれば何か糸口が見つかりそうではあるけど、たまたま電車が一緒になった人のことなんて何か変わったことがなければそう簡単に覚えていないもんだ
これが何かの事件で警察が動くことであれば、各駅の防犯カメラを見せてもらって足取りを掴んで…なんてことできるんだけど…今のこの状況でそんなことしたら怒られるだけでは済まないだろうな…
それに今は安室透に音月リュウだ
見せられる警察手帳は持ち合わせていない…
「あ!そういえば、お父さんが男の子に『丁度仮面ヤイバーを見終わるぐらいだよ』って言ってたよ!」
歩美ちゃんが親子の会話を聞いていたようだ
仮面ヤイバーは今日ではなく明日の放送だから、おかしいなと耳に残っていたんだろう
「となるとそれは、目的の駅まで後どれ位かかるかを30分番組の仮面ヤイバーに例えていたのかもしれませんね」
急ブレーキで転んだ後に聞いた会話みたいだから、米花駅から約30分、この千槍駅付近ではあるな…