第10章 ストラップの行方
歩美ちゃんと光彦の話によると、その探偵バッジというのは博士の発明品で、バッジ同士で交信ができるらしい
おまけにコナンのメガネと連動していて発信機能付きときたもんだ
子ども達と動く時には欲しいなって思うけど、発信機で居場所がわかってしまうのはこっちとしたら痛手だ
やんわり断っておこうかな…
「オレは少年探偵団じゃないし、なかなかみんなと会えないからバッジは大丈夫だよ」
「えー!リュウ君もとっくに少年探偵団だと思ってたのにぃ!」
「リュウ君がいれば心強いんですけどね!」
一緒に探偵団やろうよと歩美ちゃんに腕を掴まれながらお願いされてしまい困って零を見るも、零は人差し指で頬を掻きながら苦笑いを浮かべている
助けてくれないのか…
と思ったその時、零の隣りで何やら浮かない顔の元太が目に入る
「そういや元太、元気ないけどどうした?」
「あのよ…実は探偵バッジ、電車で転んだ時に落としちまったみたいで…」
探偵バッジの話をしていて思い出したのか…
「もしかしたら落し物で届いてるかもしれないから、ついでに聞いてきてみる?」
「おぅ!そうだな!」
よし、これで話は逸れそうだ!
零達にはこの場で待っててもらい、元太と一緒に一度出た総合取扱所へと戻った
そしてさっきと同じ係員にバッジが届いてないか聞いたが、哀ちゃんのストラップ同様ここへは届いていないようだった
「やっぱ届いてねぇか…」
「電車が車庫に入る前や折り返しする時に落し物や忘れ物の点検があるから、また時間をあけて連絡してみようよ!」
肩を落とす元太を励ましながら零達の元へと踵を返した
「へぇ~お前詳しいんだな」
「オレもやらかした事あってさ~」
学生の頃に乗ってた電車にテキストを入れた鞄を置いたまま降りてしまったことを思い出した
気付いた時点で駅に電話をしたが、終着駅まで着けば点検されその後落し物センターに届くから、時間を置いて連絡して欲しいって言われたんだったよな…
テキストを置き忘れるとかどれだけ勉強したくなかったんだって零に笑われた記憶もある…
なんてことは元太には言えなかったけど、その時はきちんと戻ってきたと言うと、少し安心したような表情を見せてくれた
「2人でニコニコして、バッジはあったのかい?」
総合取扱所を出た所で零に言われ、なかったけど大丈夫、と2人で謎の返事をした