第10章 ストラップの行方
「え?預かってる?じゃあ後程受け取りに伺いますので…」
どうやら拾われたストラップは駅に届いているようだ
それを歩美ちゃんが哀ちゃんに伝えるも、哀ちゃんの放心状態は戻らなくて、きっと現物を見るまではこのままなんだろうな…
でも米花駅なら歩いてすぐに行けるだろうし、あとはコナンに任せれば大丈夫だなと思ってたんだけど…
「預けられておるのは千槍町の駅だそうじゃ」
米花ではなく千槍…ここから何十キロもあるし、電車で30分くらいかかった気がする
哀ちゃんのストラップはだいぶ遠くまで行ってしまったようだ
「博士のビートル出してくれよ!」
「それがちょうど友人に貸しておっての…まぁ焦らんでも後日取りに行けばいいじゃろ?」
コナンのスケボーは修理に出してあるようで、博士に車を出すようお願いするもその肝心な車がなければ意味が無い
もらったばかりのオレのローラーシューズでと思ったけど、いきなり公道を走行するのは危ない気がするし…
でも後ろの哀ちゃんの様子を見る限りだと急ぎで取りに行った方が良さそうだ
零にお願いをしたら車は出してもらえると思うけど、コナン達がいないとオレだけじゃ哀ちゃんのストラップなのかどうか判断がつかないし、かと言ってあの車に子ども達を乗せて行くのを許可してもらえるだろうか…?
「だったらオレ、走って取りに行って来るよ!」
「え!?」
じっと哀ちゃんの様子を見ていたコナンは、急いで取りに行くべきだと判断して千槍駅まで走って行くと言う
今から子どもの足で走って行ったら日が暮れてしまいそうだが、コナンの身体は既に玄関へと走り出している
待って!と声を掛けようとすると、ガチャっとドアが開いて予期せぬ男が顔を出した
「おや?どうかされましたか?」
「昴さん!」
沖矢昴…
今日はミトンを両手にはめて湯気立った熱々の鍋を両手で持って来た
どうやってドアを開けたんだ…
「今日は先日煮込みが甘いと不評だったカレーを、リベンジの意を込めておすそ分けに来たんですが…」
この人の中身は本当に赤井なんだろうか…
リベンジでカレーを作って持ってくる沖矢さんを赤井に変換して考えたら、FBIは暇なのかとでも言いたくなってしまう
いやでもこれも仕事のうちと言うならば、喫茶店でバイトをしている零だって同じなんだから何も言わずして受け流しておくしかないか…