第10章 ストラップの行方
「残り1個をゲットしたヤツですよね?」
と光彦達も心配そうに哀ちゃんに寄り、固まる哀ちゃんと同じくストラップの先を見つめる
「まぁその内ネットでも買えると思うから!」
なんて言うコナンに、
「次の試合でも在庫が出るはずだから、少し待ってまた買いに行こう?」
なんてオレも励ますつもりで言ったんだけど…
「もう買えないわよ!!」
と、哀ちゃんに涙目で睨まれてしまった
「あのストラップは今日比護さんが、『俺に似てなくてかわいいな』って言って触ってくれた、世界でたった1つのストラップだったのよーっ!」
体全体でぬいぐるみストラップへの想いを叫んだ哀ちゃんは、急にフラっとよろけ、壁にもたれ掛かりながらズルズルと座り込んでしまった
「えっ!?哀ちゃんごめんっ!それは大事なストラップだよね!!また買おうだなんて言ってホントごめん!」
意気消沈した哀ちゃんに掛けよって肩を揺らすも、完全に魂が抜けてしまってピクりとも動かない
哀ちゃんがこんなになるだなんて…
「おい光彦!スマホで勝手に撮っちまったさっきの動画見せてみろ!」
「あ、はい!」
そうか!電車の中で転んだ直後から光彦のスマホは録画が開始されていたってことは、もしかしたら転んだ時に落とした可能性の高いストラップの行方が映っているかもしれない!
コナンが光彦のスマホを持ち、動画を再生していくのをオレも後ろから覗いた
動画はちょうど急ブレーキで転んで各々立ち上がるところから撮影されていた
画面にはコナンに手を差し伸べられ立ち上がる哀ちゃんが映っていて、その哀ちゃんの向こう側、ちょうど車両のドアの前には…
「おじさん、何か拾ってますね…」
光彦の言葉にコナンは動画を一時停止し画面をピンチアウトすると、映っているおじさんの手にはサッカー選手のぬいぐるみストラップと思われるものが握られていた
「エラい光彦!バッチリ撮れてるよ!」
「リュウ君に褒められるとなんだか照れますねぇ…!偶然が役に立って良かったです!」
少し希望が見えたのを哀ちゃんは聞いているかなと様子を見ると、こちらの話は一際耳に入っていないようで、相変わらず魂が抜けたまま壁にもたれる哀ちゃんがいた
これはしばらくダメそうだ…
そして拾われたストラップは駅の落し物預かり所に届いているかもしれないと、博士が駅に電話を掛けてくれた