第9章 純黒の悪夢
「オレ達は無事だよ。観覧車止めてくれてありがとな」
『いや、俺だけではどうしようもなかったよ。リュウや安室さん、赤井さん…それと、クレーン車で止めてもらわなかったら、被害は拡大してたと思う』
ノースホイールの上からのコナンの電話は、オレ達の安否の確認と、ゴンドラに乗ったままの子ども達の事と、クレーン車の事だった
観覧車が止まってすぐに哀ちゃんからコナンへ連絡があった様で、少年探偵団の子ども達はみんな無事だと聞きホッとした
そして転がる観覧車が止まるきっかけとなったあのクレーン車…哀ちゃんが言うには、運転していたのはキュラソーだったそうだ
「キュラソーが…」
『あぁ、今から降りて確認しようと思う』
「わかった、オレも行く」
そう言って電話を切った
隣りで風見と電話をしていた零もスマホをポケットにしまった
「風見から?」
「あぁ、下には捜一の目暮警部もいて、避難の協力をしてくれているそうだよ」
目暮警部が…
キュラソーを公安が引き取ったから気になってここまで来ていたのかな?
まとめ役の刑事が1人でも多くいてくれて良かった
「コナン君はなんだって?」
「…あのクレーン車を運転していたのはキュラソーだったって」
「そうか…」
ホイールに挟まれ運転席が潰れ、爆発もした、きっとキュラソーは助からないだろうと零は言う
「コナンが確認しに降りるって言ってたから、オレも確認に行ってくるね」
「僕は顔を出す訳にはいかないから、頼んだよ」
うん、と頷いてゴンドラから動こうとした時、
「叶音」
と零に呼び止められ振り向いた
「ん?」
「例のお願いの事だけど…」
……?
何だっけ?と首を傾げた
「東都水族館で観覧車に乗ったりショーを見たり、普段できないことをしたい、だったか?そう言っていただろう?」
そういえば昨夜、そんな話をしたかも…
1日前の事なのに随分遠い日の話に感じる
「東都水族館には来られたし、観覧車にも乗れた。ショーは見たというか参加してしまったし、普段できないこと、できたな」
ん?
観覧車はある意味乗った、ショーは組織の大観覧車破壊ショーとでも言いたいのだろうか
確かに零と一緒に普段できないことはできたけど…
「これで願い事叶ったなって!?」
「ふふ…冗談だよ」
お腹を抱えて笑う零にキョトンとした