第9章 純黒の悪夢
コナンの落下は間逃れたし、向こうに赤井がいるなら安心だ
赤井もコナンも既に動いていてここからはもう見えないが、きっとここで繋いだサスペンダーの様にノースホイール側にもサスペンダーの反対側を繋いでいるのだろう
頼りはコナンがオレに付けて行った小さなボタンの様なスピーカーのみ
サスペンダーを繋ぎ終えたらきっと…
『リュウ今だっ!』
ほら、合図が来た!
「了解っ!」
こちらの声は届いてないだろうけど、コナンの合図に返事をしてサスペンダーのボタンを押した
サウスホイールとノースホイールを繋いだサスペンダーはビシッと勢い良く縮み、固定されているサウスホイールがノースホイールを引っ張った
「止まるかっ!?」
通路の先まで走り、手すりに手を付いて外を見る
繋がれた筈のノースホイールは速度を落としたものの止まる気配はなく、進み続けて水族館の建物をバキバキと破壊していく
水族館内の水槽も破壊されているのだろう、ガシャンというガラスの割れる音と大量に水が流れる音もしていてる
このままではダメだ!他に何か手はないのか…!?
「零!下にいるんでしょっ!?」
「あぁ!」
声の届く距離にいて良かった…
「何かできることないかなっ!?」
「コナン君が観覧車の向こう側に走って行ったんだ。まだ何か手があるに違いない!」
様子を見てから動こうと言われ、観覧車の行く末を見ていることしかできないもどかしさで気持ちは焦るばかりだった
頼むコナン…なんとか止めてくれ…!
ノースホイールは水族館を完全に分断し、イルカショーのステージのある屋根に差し掛かかろうとしている
水族館で人を多く集められるのはショーステージの観客席しかない筈で、あそこには避難した人が大勢いるかもしれない!
そしてそこでも止まらなかったらステージのその先の東京湾に落ちてしまう…まだゴンドラには探偵団が乗っているのに!!
「何だアレ…!?」
大車輪の向こう側に、何か巨大な物が膨らんでいくのが見えた
突如現れたアレは…サッカーボール!?
またベルトから出した博士の発明品だろう…膨らませてクッションにするつもりなんだろうか?
どこまで膨らむかは分からないけど、観覧車を止めるにはまだまだ足りなそうだ
ステージの屋根はもう崩れかかっているに!
ビ━━ッ!!!
その時、建設エリアの方からけたたましい音がした
