第9章 純黒の悪夢
連続して聞こえた爆発はきっと車軸に残された爆弾の爆発音だろう
それによって崩れた細かい瓦礫が降ってくる
足場が揺れる中を零に手を引かれるまま進んでいると、ふと避けきれないくらい大きな瓦礫が落ちてくるのが見えた
「零危ないっ!」
繋いでいた手で零を引っ張る
すぐに気付いた零も慌てて立ち止まり、瓦礫はオレ達の目の前に落下し煙を巻き上げた
そして周りにも次々と瓦礫が落下してくる
「一旦サウスホイール側に移動するぞ!」
巻き上がる煙の中で別ルートを探そうとすると、立っていた足場が限界を迎え崩れていく
「うそっ…!?」
「叶音っ!」
零に引き寄せられながら2人で落下していく
離れちゃいけないと零にしがみつき、零もまた両腕でオレのことを離さない様にと強く抱きしめる
「くっ…!」
「安室さんこっち!!」
落下途中でサウスホイールの通路からコナンに呼ばれた
零はなんとか落下中の瓦礫を蹴り、オレを抱きかかえたままサウスホイールの通路へと転がりながら着地した
「安室さん!リュウ!」
「零大丈夫!?」
「大丈夫だ…奴らはっ!?」
零の腕から抜けコナンと一緒に駆け出し、手すりを掴んで外を見た
奴らのヘリを見ると、時折右翼の方から炎が上がったりしていて、コントロールを失いかけている
銃撃も止み、撤退して行く様だ
「なんとか撤退したか…」
奴らの行方を見ながら零は呟く
そして車軸が崩れた観覧車はというと、ノースホイールは思った通り車軸から外れ、観覧車の土台に落下していた
大車輪は横に倒れることなく、ゆっくりと回転を始めている…
「まさか進んでるっ!?」
「逃げろぉぉぉー!!」
コナンは声の限り観覧車の下の広場にいる人々に叫んだ
下を覗くとたくさんの人が慌てて走り出している
「マズいぞ、このまま進んでしまったら水族館に…!」
零の言葉に大車輪の進行方向を見ると、明かりのついている水族館があった
そうか、あそこだけは電気系統が別だから電気がついてるんだ…となると避難場所になっているに違いない、そんな場所にこの巨大な車輪が転がって行ったら大惨事だ!!
「リュウ、手を貸して!」
「もちろん!」
どこから出したのか、ベルトを持って走り出したコナンの後について行く
あの転がる大車輪を止める術があるのか…!?