第9章 純黒の悪夢
「大体の形がわかればいいんだったよな!?」
下にいる2人に零が叫ぶ
オレが起爆装置をONにしバッグのチャックを閉めると、零はすぐにそれを持ち上げ、身体を捻りながら観覧車の外に目掛けて放り投げた
「見逃すなよォ!!」
爆弾を入れたライフルバッグは一度上空へ上がり、弧を描く
そして空中、ちょうど5秒のところで爆発し、大きな音と共に激しい光を放った
「見えた!!」
爆発の閃光で姿を見せた奴らの乗る軍用ヘリ
コナンはそれを目視で確認すると、素早く右の靴に手をやりスイッチを回す
更にベルトのバッグルからはサッカーボールを膨らませる様に出した
「いっけぇぇっ!!」
電気を帯びたようなバチバチとした光と共にサッカーボールを蹴り上げる
凄まじいスピードと威力で飛んで行ったサッカーボールは、ヘリに当たって更に上空へと上がった
そして気流を巻き上げながら一番高い位置で破裂し、花火へと変わる
ドォンと打ち上がった花火の光に照らされて、軍用ヘリはしっかりと形を露にした
正面を向いていたであろうヘリは体勢を崩し、ローター部分がこちらを向いている
これだけの光で照らせば間違いなくローターの結合部分まで見えるだろう
「堕ちろ…」
スコープを覗いて構えていた赤井が引き金を引いた
先程の爆弾の煙を突き抜け、弾丸が一直線に進んだのが見える
そしてしっかりと命中したのだろう、ヘリが火を吹きバランスを崩して左右に大きく揺れた
「ナイス!」
「やったか!?」
「よし!」
「ふっ…」
落下するか撤退するしかない様な状況のヘリを見て、各々勝ちを確信した言葉を口にした
ヘリは黒煙を上げ、危険を通達する警報が鳴っているのか内部が赤く点滅しているのが窓越しに見える
奴らはもう為す術なく終わりだろう、そう思ったが、銃撃はそう簡単に止まらなかった
機体を持ち直したヘリから再び車軸を狙って弾丸が撃ち込まれる
「まだ飛べるのか!?」
「このままじゃ観覧車が崩壊する!」
このまま破壊されたら観覧車の中心で支えているゴンドラを結ぶホイールが外れてしまう
ゴンドラにはまだ子ども達も乗っているのに…!!
「クソォ!」
コナンがどこかに走り出した次の瞬間、爆発音が連続して聞こえ、ノースホイールが徐々に車軸から離れていく
「叶音こっちだ!」
零に手を引かれながら揺れる通路を走った
