第9章 純黒の悪夢
「赤井さーん!安室さーん!リュウー!」
少し進んだ所でコナンの声が響いてくる
その距離はそう遠くなさそうだ
「なんとか合流できそうだな」
「うん!」
声のする方へと急ぐと、下の通路で赤井とコナンが既に合流をしていた
観覧車の壁の裂け目から外の明かりが薄ら差し込み、それを避けるよう陰に2人は隠れている
上空からはまだローター音が聞こえていて、軍用ヘリがホバリングを続けているのがわかる
「そのライフルは飾りですか!?」
零が柵の上に両手を掛け身を乗り出しながら下にいる赤井に叫んだ
狙撃の腕前は誰よりも優れている赤井が何も出来ないなんてどうしたんだと言いたいのだろう、腕を認めているのに一言一言つっかかって行くから苦笑いが出てしまう
もう少し仲良くすれば良いのに…
「暗視スコープじゃ見えそうにない?」
オレも柵の縦棒を両手で握りながら声を掛けた
「それがおシャカにされてしまって、使えるのは予備で持っていた通常のスコープのみ…これじゃあドデカい鉄の闇夜のカラスは落とせんよ…何とか奴の姿勢を崩し、尚且つローター周辺を5秒照らすことができれば…」
「照らすことはできそうだけど…大体の形がわからないと、ローター周辺には…」
赤井とコナンの話を聞く限りでは、奴らの形さえわかれば反撃の手段はあるって事か…
形を確認する為には明かりが必要…一瞬でもいいから奴らを照らす方法はないのか…
……そうだ!
「零、解体した起爆装置、弄ったらまだ動きそう!?」
「え?…あぁ、遠隔操作を切っただけだからきっと……そうか!」
オレの作戦をすぐに理解した零は背負っていたライフルバッグを下ろし、中から起爆装置を取り出す
それを受け取ってボタンをピッピッと押して操作した
…ズガガガ━━━!
「!!」
まだ設定は終わっていないのに、奴らの次の攻撃が始まってしまった
しかも今度の攻撃は1か所に集中している
「まさか奴ら、車軸を爆発させて…!?」
上空を見上げるコナン
「この観覧車ごと崩壊させるつもりか!?」
その声に返す赤井
「マズイ…車軸にはまだ半分爆弾が残ってる…!」
ライフルバッグの爆弾を整える零
「待って…もう完了するから…!」
最後のsetボタンを押し『STANDBY』の文字を確認してライフルバッグに詰め込んだ
「零頼んだっ!後5秒!」
