第9章 純黒の悪夢
この状況の中で子ども達の乗っているゴンドラまで辿り着けるだなんて、さすが哀ちゃん…只者ではない
でもどこか声が震えている様な気がして、何かあったんじゃないかと心配になった
でも子ども達の状況を聞いてもみんな怪我なく無事で、哀ちゃん自身も大丈夫だと言う
心配しているのは組織の存在か…?
「組織が上空にいる。この暗さなら奴らからゴンドラの中は見えないと思うから、できればそこで身を低くしてじっとしていて欲しい…キュラソーも逃げ出してどこにいるかわからないから」
『そのキュラソーのことなんだけど…』
そう始めた哀ちゃんの話に驚いて自然と足が止まった
オレの一歩前を走っていた零もオレに合わせて立ち止まり、隣りに戻って来る
「…わかった。ジン達の方はなんとかするから、子ども達の事は任せたよ」
通話を切り、グッと唇を噛んだ
「何があった?」
「キュラソーが…ゴンドラに残されてる少年探偵団の3人を助けるために囮になったみたい。銃撃が自分に向けられる様に敢えて目立った行動をして、弾丸に追われて瓦礫と共に落下していったって哀ちゃんが…」
「誰かが狙われている様に銃撃が変わったのは、組織がキュラソーを見つけたからか…」
「キュラソーは前の自分より今の自分がいいって組織に戻るのを拒んだ…ジンが来てるから逃げるよって、哀ちゃんのことも助けようとしたって…」
キュラソーが記憶喪失の間は子ども達が一緒に過ごしていたみたいだし、記憶が戻っても子ども達を助けるために動いたということは、あの子達によって何か心が動かされたのだろうか…
そしてキュラソーは組織を裏切った
だから上空にいるジン達はキュラソーを始末しようと観覧車を攻撃しているのだろう
「叶音、わかってるとは思うが、キュラソーが組織を抜け出し逃げ延びたとしても、警察庁に侵入し、盗みを働いた事実は変わらない」
「わかってる。組織に始末される前にキュラソーを保護、そして逮捕。その前にこの事態を鎮める。オレ達のやることは変わってないよ」
それに奴らはキュラソーの痕跡を消す為にこの観覧車を跡形もなく破壊してくるかもしれない
再び弾丸が打ち込まれる前に赤井やコナンと合流して策を考えないと…キュラソーだけではなく、オレ達も、哀ちゃん達も、下にいる民間人や公安も危険だ
「まずは赤井とコナンに合流して状況把握しよう!」
