第9章 純黒の悪夢
撃ち抜かれ砕けた壁の破片が降り注ぎ、それを避けながら3人はバラバラに離れた
目を開けられる様に腕で顔を隠し、頃合を見て弾丸の跡を見上げる
弾丸はこの場から一番離れた所まで行くと一旦止まったが、オレの頭上ではミシッと音を立て、壁から外れた大きめの鉄板が真上から降ってくる
避けれない…このままでは潰される…!
「クソっ…!」
「リュウさん!」
両腕で頭を守りその場に蹲ると、ズシャッと音を立て鉄板が落ちてきた
…が、覚悟した衝撃や痛みがない
「…リュウさん…大丈夫ですかっ…?」
「風見っ!?なんで…!」
ギュッと瞑った目をあけると、オレを庇うように被さる眼鏡のない風見が目の前に、しかもその背中には落ちてきた鉄板が乗っかっているではないか!
「今なんとするからっ!もう少し踏ん張って!!」
「オイリュウ!風見刑事!無事っ!?」
床と鉄板の間にできた隙間からコナンが覗き込んでくる
「オレは無事だけど、風見が!!」
風見が肘をつき踏ん張るとオレが動けるスペースができ、コナンとお互いに伸ばした手を掴んで引っ張り出してもらった
次に風見が抜け出せるよう、すぐに2人で落下した鉄板を力一杯持ち上げる
「か、ざみ…動けるっ!?」
「はいっ…!」
這うように出てきた風見を確認し、鉄板から手を離した
すぐに風見に寄り添い、頭や首、腕は何ともないか、触って確かめていく
「大丈夫ですよリュウさん…これでも身体は丈夫な方なので」
降谷さんには負けますが…なんて一言付け足されるもあまり考える余裕はなく、とにかく風見が心配で堪らなかった
「オレなんかより、自分の身体大事にしてよ…」
「いえ、リュウさんの安全を確保するのも自分の務めなので」
「はい風見刑事、眼鏡」
コナンが見つけた眼鏡を掛け、あちこち傷や汚れが付いたままオレを安心させる様にニッと笑って見せてくれた
「早く何とかしねぇと…」
「風見、とにかく急いで下に向かって。またいつ始まるかわからないから」
「わかりました。どうかご無事で」
鉄板の当たった背中が痛むのだろう、手すりに寄りかかりながらも足早に階段を降りて行く姿を見送った
「俺達は一旦赤井さんと安室さんに合流しよう」
「うんっ…」
そうこうしているうちに再び奴らの攻撃が始まった