第9章 純黒の悪夢
ゴンドラはズゥン…と大きな音を立て、避けたオレ達の真横に滑り落ち瓦礫の煙が上がる
「あっぶねぇ…」
「間一髪…」
横たわる風見の隣り2人でにヘタりと尻を着いた
奴らがゴンドラを離したのはゴンドラ内にキュラソーがいないことを確認したからだろう
それにしてもキュラソーがそこを離れた理由ってなんだ?
あのまま乗っていれば組織に戻れた筈なのに、その連絡が上手く伝わらなかったのか…?
「ぅぅ…リュウ…さん…?」
「風見っ!」
ようやく目を覚ました風見にホッとした
「これは…一体…」
身体を起こしながら辺りを見渡した風見は、ゴンドラの落下によって差し込んだ月明かりに照らされた現場の悲惨さに驚いている
観覧車に乗っていただけなのに目が覚めたらこんな状況だったなんて、驚かずにはいられないだろう
簡単だが、組織がキュラソーを奪還しに空から来ていること、ゴンドラをヘリのアームで掴まれたがキュラソーがいないことに気付き離され落下したことを話した
「オレ達がゴンドラに辿り着いた時には既に彼女はいなかったんだ。意識を失う前、何があった?」
「被疑者はショーの花火の後に発作を起こしました。救急車を呼ぼうとスマホに目をやった隙に被疑者に攻撃され、その後の記憶はありません…」
すいませんと俯く風見は悔しそうに拳に力を入れた
おそらくその時の発作で記憶が戻ったのだろう
やはりコナンの推理通り、あのスポットライトの光を見て記憶が戻ったんだ…
「ふ…安室さんは、無事なんでしょうか?」
風見は降谷と言いかけ、コナンがいることに気付いて安室と言い直した
「うん、無事だよ。今は爆弾の解体をしてくれてるんだ」
「爆弾ですか!?」
あ、そういえば観覧車の反対側を止めるように言ったけど、爆弾のことまでは言っていなかった気がする
「コナンが見つけてくれたんだ。観覧車の車軸に設置されていて、いつ爆発するかわからない。風見はすぐに下に降りて、民間人の避難誘導の指揮をとってあげて」
ゴンドラで回収した風見のスマホを渡す
画面には何件もの部下からの着歴が表示されていた
きっと下もパニックになっている…
「わかりました。リュウさんは…」
ガガガガガ━━…
「「「ッ!?」」」
風見の言葉を遮り、物凄い銃弾の音と上の通路の壁が破壊されていく音が地を揺らし響いた
