第9章 純黒の悪夢
「誰か人が出てきた様に見えた」
レールの上を走りながら、コナンが言う誰かが出たと思われるゴンドラへと向かった
そのゴンドラは間もなく観覧車の一番高い位置に差し掛かるところだ
レールからゴンドラへと飛び移り、開いたままの天井から中を覗くと、そこには気絶し倒れた風見の姿があった
「風見っ!?」
「やっぱりさっき飛び出したのはキュラソーだ!」
先に飛び降りたコナンに続いてゴンドラの中へと入る
「おじさん起きてっ!おじさんっ!!」
「風見!しっかりして!!」
息はあるし大きな外傷も見当たらないから命に別状はだろう…でも目を覚ましてもらわないとオレ達2人ではここから外へは運べない
コナンが肩を叩いて起こしているのと同時に椅子の上にキュラソーがしていたであろう手錠と風見のスマホが目に入った
風見から手錠の鍵を奪って外したということはもしかしたら…と嫌な予感がして風見の装備を確認した
やはり普段付けている銃をしまうホルスターの中には、入っている筈の拳銃がない…キュラソーが持ち出したか…?
「くっそォ!!」
コナンの悲痛な声に上を見上げると、ヘリはすぐ真上に来ていて、ゴンドラが風圧で揺れている
「風見起きてってばっ!!」
揺すって必死に呼び掛けるが風見は一向に目を覚まさない
その時、頭上でガガンという音と共に身体に衝撃が響いた
見上げると奴らのヘリから出ていたアームの爪がゴンドラを支える鉄骨を掴んでいる
間もなくしてその鉄骨はメキメキと音を立て砕け散り、今度は剥き出しになったゴンドラをアームが掴む
「うわあっ…!」
ゴンドラは激しく揺れながら持ち上がり、その揺れに耐えきれずバランスを崩し、コナンと2人でゴンドラのドアに背中を打ち付けた
その衝撃から一瞬息苦しさを感じ身体が上手く動かせなくなったが、なんとか意識を飛ばすのだけは耐えた
「うぅ…」
隣りで呻き声を上げたコナンも意識あるからなんとか大丈夫そうだ
奴らはキュラソーが乗っていると思い込んだまま、このままゴンドラごとオレ達を運ぶつもりなのか…?
しかしヘリはゴンドラを掴んだまま動くことなくホバリングをして止まっている
運び出すならすぐに動く筈だ…
「リュウ大丈夫か?」
「なんとかね…コナンも平気?」
「あぁ…って、おいおいウソだろっ!?」
「ちょっ!!それはマズいって!!」
