第9章 純黒の悪夢
耳元でコールが続く中、頭上から水と光のショーの開始のアナウンスが流れた
それが終わると同時に軽快な音楽が鳴り、花火の音が観覧車の内部にもバンバンと響き渡る
哀ちゃんへの電話は結局繋がらなかったが、観覧車に乗っているのが少年探偵団だろうが知らない子どもだろうが、民間人の安全を確保しなければ…
奴らの目的はキュラソーを奪還することだから他のゴンドラには興味を示さないだろうけど、爆弾があるとなれば話は別
いつ爆発するかわからないし、電気だって同じくいつ落とされるかわからない…早く対処しないと、たくさんの関係ない人達が巻き込まれてしまう…
「うわぁっ!!」
━━ドカッ…ガンッ…ドスッ!!
「えっ!?何ッ!?」
階段をあと二階建て分上れば観覧車の頂上に出るという所で、上から大きな声と共に何かが所々ぶつかりながら落ちてくる様な音がした
柵の方に寄って見上げると、何かが殴られるような鈍い音が何度も聞こえてくる
そのうち上部の柵がガシャンと響き、目に入ったのはそこに腰をぶつけて仰け反りながら上半身が柵の外に飛び出した零だった
「がはっ!!」
「零ッ!?」
零は落ちることなく引っ張られる様に戻って行く
「もうよせ!」
聞こえたのは赤井の声だった
声を聞いたのと同時に反射的に足が動き、急いで現場へと走った
2人で一体何をしてるんだ!?
まさか組織の誰かが潜んでいて乱闘中とか…!?
階段を上り切る手前で頭だけ出して様子を伺うと、そこにはボクシングスタイルで赤井に殴り掛かっている零と、それを受けジークンドーの構えをしている赤井がいた
2人とも額や口から血を流していたり、傷や痣があちこち見える
え……まさかとは思うけど…
「さあ、第2ラウンドと行きましょうよ!」
「行きません!!」
ほんっとにこの2人は!!
最後の数段に足を進ませ、ボロボロな2人と同じエリアに立つ
「こんな時に何やってんの!?」
「止めるな叶音、僕はコイツと決着を着けないといけないんだ」
「どうにかしてくれ、君の飼い主だろ?」
「またそうやって叶音の事を…!」
何故そうなったのか全然状況がわからないんだけど、今ここで喧嘩をしている場合ではないことは確かだ
「はいはいわかった!殴り合いの喧嘩をするのはかまわないけど無事に組織の計画を阻止してからにしてくれる!?」
