第9章 純黒の悪夢
ウォッカに続いてベルモットも零を追いかけようとしたが、スマホを見て立ち止まる
「悪いなキール…ネズミの死骸を見せられなくて…」
ジンはキールへと銃を向け、確実に仕留める体勢に入った
水無も逃がしてやらないとと今度は俺が奥歯を噛む
何か方法は…
「あばよ…キール」
「ジン待って!撃ってはダメ!」
ラムからの命令だとベルモットが夕日を背にジンを止めた
シルエットしか見えないが、電話をしている…そして電話の相手はラム…
「(ちゃんと仕留めた様だな)」
「(赤井っ!)」
走っていたのか息を整えながら赤井が戻ってきた
もしかして、ドアを開けて零が逃げたように仕向けたのは赤井…?
「(まんまと騙されてくれた様だ。降谷君はまだ中に隠れているよ)」
じゃあジン達がここから去れば、零は動くことができるか…
でも水無はどうする…?
ラムからの命令で撃つなという事は、もしかして…
そのうちにベルモットがラムとの通話を終え、ジンに話し始める
「キュラソーからメールが届いたそうよ…2人は関係なかったと」
やっぱり、コナンが送った偽装したメールが届いたんだ
ってことは零もNOCの疑いが晴れた…!
「さっさとこの手錠を外してもらおうかしら…」
疑いが晴れたなら拘束を解いて欲しいとキールがジンへ強気に言うが、ラムの命令には続きがあると、ベルモットがそれを拒否した
「届いたメールが本当にキュラソーが送ったものか確かめる必要がある、と…」
そこを疑ったか…まぁ確かに記憶が戻ったのか、それとも戻っていない状態のメールなのかを確かめなければ、確実とは言えない…
そうなると零への疑いもはっきり晴れた訳ではなく、組織はキュラソー奪還の為にこれから公安へと何か仕掛けてくることになるだろう
奴らが仕掛けにくくする為にも早くキュラソーの場所を移動させなければ…風見は無事に身柄の引渡しが済んだだろうか…
「警察病院からの奪還となると、かなり厄介になりそうだけど…」
「案ずることはねぇ…俺の読みが正しければ、そろそろ動きがあるはずだ」
ジンがスマホを取り出し電話を掛けた先は一体…
「やはりな…」
もしかして他の仲間が警察病院を見張っている!?
ジンと一緒に動くとしたら、キャンティとコルンの可能性が高い
どちらも腕利きのスナイパーだ…その2人だとしたら、今度は風見が危ない…!
