第9章 純黒の悪夢
「じゃあ、キュラソーを奪還してNOCリストを手に入れるべきじゃないの!?我々が本当にNOCか、それを確認してからでも遅くないはずよ!」
水無が言うことは最もだ
記憶喪失の人からの連絡でNOCだと言われても本当かどうかも怪しい
そんな曖昧な情報で命を奪われてはたまったもんじゃない
「確かにな…だが、疑わしきは罰する…それが俺のやり方だ」
投光器の光を背にカチャリと銃を構えたジン
逆光でよく見えないが、殺気立ったものを感じて身震いをした
疑わしきは罰する…怪しいとジンが思った時点で殺される…そうやってあいつは一体何人の命を奪ってきたんだ…!
「さぁ…裏切り者の裁きの時間だ…」
ガウン…と再び響く銃声に、呻き声を上げながらしゃがんだのはキールだった
「ううう…」
「キール!!」
「ほらどうしたキール…続けろよ…手錠外してぇんだろ?」
鉄柱の後ろで2人の手元で何かが手元で動いていると思っていたら、手錠を外そうとしていた様だ
しかしキールが撃たれたことで手錠も外せなくなる
キールの手首から暗闇に浸たる血を見る限りだと、撃ち抜かれたのは肩だ
キールが撃たれたのを見て隣りにいた赤井が動き出す
コンテナの上に登ったかと思うとライフルをバッグから取り出しコンテナ上に固定し始めた
ここから撃つのか……でも何を?
「まだ容疑者の段階で仲間を…!!」
「仲間かどうかを断ずるのはお前らではない」
零とジンの会話を壁の向こうに聞きながら赤井を見上げていると、こっちに来いと手招きされた
この身長では1つのコンテナを上るにも音を立ててしまいそうで、どこか登れる場所はないかとキョロキョロ辺りを見渡すが、助けとなるものは何もない
両手を伸ばして首を横に振り届かないアピールをすると、ハッと気付いた赤井が降りてきてコンテナの上へと抱き上げてくれた
すぐに赤井も上り直し、ライフルを覗いて見ろと耳元で言われる
コンテナに寝そべって置かれたライフルのスコープを片目で覗くと、レティクルと呼ばれる十字の線が棒のようなものを捉えていた
「(天井にぶら下がっている照明のコードだ…これを打ち落として投光器にぶち当て、奴らの視界を奪う)」
耳元でコソコソと作戦を教えてくれる赤井
「(降谷君は手錠を外し終わっている様だ。逃げる隙さえ作ってやればあとは彼がなんとかする筈だろう)」
