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星降る音に祈りを【DC降谷/幼児化男主】

第9章 純黒の悪夢


クツクツと肩で笑いながら立ち上がる赤井を目で追うと、傾き始めていた夕日の眩しさが目に入ってくる
緊張で下を向きすぎて気付かなかったが、改めて辺りを見るとオレンジ色に包まれ始めているではないか
夕日を背にした赤井の手が頭に置かれると、兄の様な眼差しで言われた

「顔色、戻った様だな」

赤井にからかわれてしまったからなのか、夕日のせいなのかはわからないけれど、そういえば先程まで感じていた緊張が解れ、気持ち悪さがなくなっている気がした

行くぞ、とライフルバッグを肩に掛け歩き出す赤井の後ろを着いていきながら、そうか、赤井はオレの緊張を解くためにワザとあんなことしてくれたのかも…と思った
思えば深夜からずっとオレの事を気遣ってくれている
それだけではなく組織時代から赤井はずっとこうだった
どうしてそんなに優しくしてくれるのかなんて聞くには今更すぎて、赤井の背中に向かって心の中でありがとうを言った



「どこで奴らに遭遇するかわからん、慎重に行くぞ」
「うん…」

倉庫街の外れから、倉庫と倉庫の間に身を潜めながら目的の倉庫を目指した
大人の足で駆け抜ける赤井に着いて行くのはそこそこ大変で、2人の間は少しずつ距離ができ始める
それに気付いたのか少しの距離を赤井はオレの方に戻って来た

「ごめん、オレに構わず…」

小声でそう言うと口元に人差し指を立て「静かに」と無言で言われ、途中で言葉を止めた
そして赤井はオレのことを包み込む様に抱き、身を低くして倉庫の壁にピタリと隠れる

次第に聞こえてくるのはバタバタとした特徴的なエンジン音…ポルシェ356A、ジンの車だ…!

音を聞く限りだと倉庫を挟んだ向こう側の道を走って行ったであろう、向かう先はオレ達が目指している場所と同じ方向だった

「少し急ぐぞ」

コクリと頷くと足が地面から離れ、赤井に抱き上げられる

「ちょっ!?」
「この方が速いだろ?」

抱かえて走るのは重いからオレは置いて先に行ってと言うと、軽すぎてトレーニングにもならんと走りながら返ってくる
背中にライフルバッグ、前には片手でオレを抱え、底知れない体力に驚きつつも振り落とされないように赤井の首にしがみついた


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