第9章 純黒の悪夢
零の車はきっと今朝行った倉庫を目指しているのだろう
きっとそこでキールと一緒に…
そして息が整った頃にまたスマホが鳴る
今度はコナンからだ
「さっきはごめん!」
『いや、リュウが慌てた理由がわかったよ』
逃げる様に切ってしまったことを謝ると、コナンはオレが切った理由や時間がないと言っていた理由がわかったと言う
ということは…
「修復できたんだね?」
『うん。でもその前にジェイムズさんから話を聞いたんだ。ノンオフィシャルカバー…NOCとよばれる世界中のスパイのリストが彼女に盗まれたんだね…』
ジェイムズさんから…そう聞いて赤井をチラリと見るが首を傾げて返される
FBIはだいぶコナンのことを信頼して情報開示をしている様だ
あまり広めちゃいけないと思っていたNOCリストのこともわかってしまったか…
「全部わかっちゃったか…」
『何で早く言ってくれねぇんだよ!』
NOCリストが盗まれたと言うことを肯定すると、何故か電話口で怒鳴られた
ビックリしてスマホが耳から離れ、その声は赤井にまで聞こえた様で隣でクスリと笑っている
「えっ…だって…」
『そりゃあ民間人のオレじゃ出来ることも知れることも限られてっけど、だからこそ出来ることがある!安室さんが危ねぇんだろ!?俺にも協力させてくれよ!』
コナンの申し出は心強いが、本当に協力してもらっていいのだろうかと躊躇する自分もいる
そんなオレを察してか隣から赤井がオレのスマホに向かって一言放った
「何か策があるんだろ」
『赤井さん!?』
スピーカーにして赤井にも聞こえるようにすると、「リュウと赤井さんが一緒だなんて思いもしなかった」と驚いている様子が返ってくる
赤井も赤井でコナンの策に興味津々の様だし、データの修復を頼んだ時点で巻き込んでしまっているんだ、こうなったらもう少し付き合ってもらうしかない…
「修復されたデータの状況は?」
『「NOCはスタウト、アクアビット、リースリング…あなたが気にしていたバーボンとキール」…最新の送信データだけしか修復できなかったけど、彼女はそう送っているんだ』
だからあの3人から暗殺されたんだ…
となると次はバーボンとキール!!
「それで、ボウヤはどうするつもりだ?」
『今送信先のアドレスの解析をしてもらってる』
送信先のアドレス…